手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
築68年の農家の母屋のリフォーム

千葉に代々続く農家の長男に嫁ぎ、同じ市内のアパートに9年暮らしていましたが、

男児3人が産まれ(小2・5歳・2歳)、いつまでもそのままじゃ狭かろうと、

夫の実家の母屋(S25年、築68年)の母屋をリフォームし、私たち家族が

暮らすという案がおととし、持ち上がりました。

更地にして新築を立てるというのではなく、先祖が建てた建物を大事に

使ってほしいと義父に言われたので、リフォームです。

本当は久野さんがお元気な時に「家作りをしないか」とお声掛けいただいて

いましたが、残念ながらタイミングが合いませんでした。

 

その母屋というのは、とても寒く、冬は家の中でも息が白いくらい(奄美大島育ちの私には耐えられない)、

縁側を歩けば、板がへこみ、その板の隙間からは砂が上がってくるし、

建物内の建具は動かないのも多く、リフォームをすれば暮らせるのか、専門の人の目から見て、

どう判断される建物なのかと心配していました。

 

フォーラムのメンバーの鈴木さんと中川原さんと指出さんのお宅を

前に見せていただき、気持ちの落ち着く、穏やかで美しい空間に憧れていました。

同じくフォーラムのメンバーでもある設計士の源野さんは東京の西、

千葉の設計を引き受けていただけるか、恐る恐るメールをお送りしたのが、

おととしの11月、快く引き受けて下さり、何度も足を運んでいただけ、

何度も図案を書き直していただき、施工業者を探し、その施工業者が手がけた

家も見に行き、今年の1月に着工、約9ヶ月、ようやく今月上旬に完成しました。

 

【外観】

外観

外壁の杉板は源野さんに教わり、弁柄と墨汁、水溶性ボンドと水を混ぜたものを塗り、

その後に防水の塗料を塗りました。

 

【玄関】

玄関

 

【郵便受け】

郵便受け

 

【和室】

お仏壇のあるこの部屋だけは、夫の希望により、ほぼノータッチです。

この部屋の周りの建具もそのまま、前のものです。

和室2

 

テーブルの下は掘りごたつになっています。もちろん、畳を戻すこともできます。

和室1

 

【寝室】

この寝室やリビングなどの壁紙、また一部の建具にも計180枚ほど、

石川県の遠見さんの杉皮和紙を使わせていただきました。

私・夫・義妹・友人夫妻で仕事のお盆休みを使い、張る作業を頑張りました。

寝室

 

【子供部屋】

(正面の壁や建具は杉皮和紙を張ったもの)

子供部屋に6畳しか割けなかったので、

子供部屋

 

【子供部屋の小屋裏】

階段を上ったところにある、この小屋裏も使うことにしました。

遊んでもらったり、寝てもらおうかと思っています。

梁が横切っていますが、子供ならこういうの、好きそうです。

梁は、2歳の末っ子がかがまずに通れる高さです。

子供部屋小屋裏

 

【夫の書斎】

この建具を含め、5枚の建具を源野さんが骨董屋さんで探して来て下さり、

昔の建具でサイズが合わない部分は建具屋さんが足し、塗装屋さんが

うまく色を塗って下さったので、足した部分が分からないほど。

5枚の建具を5ヶ所のどこに使うか、考えるのも楽しかったです。

ガラスは透明やお花柄、ダイヤガラスなどいろいろです。

昔のガラスは、素敵ですね。

夫書斎

このリフォームで床の間をなくしました。

床の間や違い棚に使われていた木材はケヤキで、この書斎のテーブルやお手洗い、

玄関下駄箱上、洗濯機近くの洗剤などを置く棚に再利用しています。

 

【リビング】

リビング2

 

子供がだらだらとテレビを見るので、見ない時は目隠しをするという扉。

夫が何かの本で読んだよう。

リビング1

 

吹き抜け

リビング3

 

【お手洗い】

床の間の再利用のケヤキに手洗いの器をはめています。

使わせていただいたのは、福岡の小石原焼、太田哲三さんのもの。

お手洗い1

 

指描きの、のびやかな感じが気に入っています。

お手洗い2

 

【脱衣所】

中川原信一さんや森新緑さんのかごがちょうど入るように、

また、洗濯物を干す、洗濯ばさみがたくさんついているものが

別のものとからむのが好きでないので、仕切りを作ってもらうよう、

長さなどを源野さんに注文し、家具屋さんに作っていただきました。

脱衣所

 

【太田潤さんランプシェード】

色違いを4種というのは大変だそうですが、それもよく分かっておらず、

希望のまま、わがままでお願いしました。

どれも美しいです。

どの色のをどこに付けるのか迷うのも楽しかったです。

ランプシェード4

 

ランプシェード3

 

ランプシェード1

 

ランプシェード2

 

【玄関 下駄箱上】

この建具は、もともとこの建物の別の場所にあったもの。

外には新しい窓が付いているので、飾りの窓です。すりガラスと透明が交互。

手前は、床の間のケヤキ。

ここに庭のお花を飾るのが引っ越してからの楽しみになっています。

どの花瓶敷きを使うか、どの花瓶にするかを考えるのも楽しいです。

 

(ジンジャー系の花)

コスモス

この小鹿田のピッチャーに、この瀧山さんの倉敷緞通は小さかったですね。

一輪挿し用くらいだったか。

 

(コスモス)

ジンジャー

庭の金木犀が咲いてきたので、次は金木犀かな。

それとも、シュウメイギクか。

 

農家に限ってか、この家は、結構お客さんと玄関で話をします。

冬は農作業の合間のお茶もこちらで。

小豆の選別(よくないものを外す)などもここでやります。

その際は、下の松の木は動かさないといけないですね。

(濃い色の玄関に使った松の残りを、「よいしょ」と上らなくてもよいように

1段目に使いました。座るのにはよいですが、上るには高さが高いです)

ノッティング

玄関に大きい倉敷緞通がほしいなぁとか、四角のノッティングの椅子敷きが

2枚くらいはほしいなぁとか、素敵な座布団カバーがほしいなぁとか考えているところです。

 

【最後に】

和室の小屋裏にある、この家の歴史の品。

8角形の板に鳥の絵が描かれていて、

裏に「昭和弐拾五年四月弐拾五日 祝上棟 当主林〜 棟梁〜」と筆で書かれています。

「幣串(へいぐし)」や「幣束(へいそく)」と呼ばれる上棟式に使う

魔除けだそうです。

近所のお宅の棟上げの時にもっと簡易的なものですが、こういうの見たことがあります。

生まれ変わった家も守っていただきたいものです。

 

源野さんはじめ、施工業者さん、大工さん、左官屋さん、タイル屋さん、

電気屋さん、建具屋さんなどなど、多くの方にお世話になりました。

限られた予算の上に、こちら側のわがままや無理を聞いて下さり、

それぞれの方の技術はもちろん、かゆいところに手の届くようなご配慮、または

それ以上のご配慮で、すばらしい家になりました。

どうもありがとうございました。

建物も先祖も喜んでいることと思います。

質の良い断熱材と窓にしたので、冬も温かいことでしょう。

 

このような家作りにご興味があり、見たい方がいらっしゃいましたら、

どうぞお越し下さい。

 

| 林菜保 | つかう | 00:01 | - | - |
大原孫三郎・聡一郎の足跡
倉敷フォーラムの報告が続いていますが、ちょいと道草を・・・

町並みをはじめ、倉敷の文化の形成、保存に尽力した大原孫三郎、聡一郎の住宅が公開されています。
国指定重要文化財の旧大原家住宅が、4/1から「語らい座 大原本邸」として公開されました。

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左に並ぶ建物が倉群で、倉の一部は、中が改装されて展示室になっています。
右が主屋で、一部公開。倉のいくつかを除いて江戸時代後期の建物だそうです。
この路地を忙しく行き来しただろう使用人たちの姿が目に浮かびます。

倉の隅にカマドがあります。外ですので、まさか五右衛門風呂ではありません。
なんかと使うことのある湯を沸かすためのものでしょう、
床に水はけのための瓦が敷き詰めてあり、無造作ながらきれいです。
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倉の展示室の中でも、大原聡一郎の蔵書を展示した一室は壮観でした。
孫三郎以来の膨大な蔵書から展示用に選ばれたものですが、
倉敷本染手織研究所で読み継がれている『工藝文化』や外村吉之介編纂の『葛布帖』などの民芸関係はもちろん、
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紡績、繊維関係や、
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経済学、
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直接話を聞くこともあったという徳富猪一郎(蘇峰)の著作も。
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会社経営とともに文化、社会に貢献した大原父子。
ウインザーチェアーに座って読書する時間が、どれほどあったのでしょう。
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展示を見終わって外に出ると、おや、海鼠壁が美しい見覚えのある風景・・・
小道の右は大原別邸「有隣荘」、左が、今見てきた旧大原家住宅。
川に面した立派な玄関から入ったのですが、出口はというと、左に見える倉の板戸から。
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大原家出入りの商人(あきんど)になった気分で、2173.97平米の屋敷を後にしました。
 
| 管理人 | いろいろ | 18:38 | - | - |
朝日新聞 愛媛版 連載 「手仕事さんぽ第5回目」

9月の記事は「砥部焼・梅山窯」です。

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砥部には柳宗悦、バーナ−ド・リ−チ、鈴木繁男、濱田庄司が訪れ、作陶に関する指導を行いました。
砥部焼といえば“呉須で描かれた唐草”が代表的ですが、この呉須も濱田庄司の提案によって、古い時代の砥部焼の染付が復活しました。
梅山窯には古陶資料館が併設されており、砥部焼の歴史を見ることができます。

藤岡 葵

| 管理人 | お知らせ | 09:33 | - | - |
2019日本の手仕事カレンダー入荷しました

小田中耕一氏による日本の手仕事を題材とした型染を印刷した「日本の手仕事カレンダー」が今年も出来上がりました。

簡素で美しく温かみのある意匠は、小田中氏の人柄と、芹沢げ靆膕爾燃悗鵑覇世心恭弌代々続く染物屋の伝承した技によるものです。

小田中耕一さんによるホッとできる温かい型染のカレンダーを、ご自宅のインテリアやオフィスにいかがでしょうか。

詳細は下記のページをご確認くださいませ。

 

http://teshigoto.jp/forums_activity/event/2019calendar.html

| 管理人 | お知らせ | 09:25 | - | - |
九州のうつわ展 @リブロ福岡天神店


すでに会期も後半となってしまいましたが、リブロ福岡天神店にて「九州のうつわ展」開催中です。

小鹿田焼や小石原焼をはじめ九州各地の民窯の製品が所狭しと並んでいます。
お近くの方は是非お立ち寄りください!


九州のうつわ展

会期 9/4(火)〜10/1(月)

会場 リブロ福岡天神店  福岡市中央区天神2-5-35 岩田屋本店本館7F

電話番号 092-717-5180 

営業時間 10:00〜20:00

| 副島秀雄 | お知らせ | 07:45 | - | - |
いかご

倉敷での全国フォーラムで最初に訪ねた現場がいかごをつくる須波さんの工房でした。

到着すると様々な工芸品が目を引きます。

いかごはネットなどで目にしたことがありましたが、実際に手に取ってみたのは今回が初めてでした。

編組品というと竹やアケビなど手で編み込んでつくるイメージがありましたが、いかごは織物と同じような織り機で製作していました。

須波さんはまだ20代のつくり手で、おばあさまから教えてもらって今では一人で製作しているとのことでした。

織物のバッグのように全面同じように織って、それを加工して袋状にするのではなく、織る時点でどの部分になるのかが決まっていて、力のかかる底の部分はい草の本数を変えて織っているそうです。

縁などの仕上げは手作業で編み込んでいきます。

製品として置かれていたいかご。

元々は闇市使われていたカゴでヤミカゴと呼ばれていたそうです。

あけびなどのように代々使い続けられるようなものではないそうですが、

しっかりとしたつくりで日常使いに良さそうなカゴでした。

| 副島秀雄 | みる | 16:43 | - | - |
瀧山さんの仕事

瀧山さんの工房見学。

倉敷緞通は織物。織物といえば女性の仕事のイメージがありますが、

緞通の機は巨大で、実に男性的な仕事です。

 

この機には瀧山さん自らが考え出したアイディアが大胆に組み込まれていて、

単なる機というものを超え、ある種のマシンのような印象さえ受けます。

しかし姿こそダイナミックですが、細やかな工夫が多く散りばめられていました。

いずれも良い物をたくさん作るために、長年積み上げて来たものです。

 

そしてこの日は、織りあがった緞通の仕上げ工程を見せてくださいました。

古いミシンに丁寧に油をさします。

製造時期などは失念しましたが、年代もののミシンで、

すでに壊れているところもあるけど、丁寧にメンテナンスをしながら

使っているようです。

 

先ほどの織りの工程とうってかわって、

繊細な仕事ぶりを見ることができました。

 

道具を細やかかつ丁寧に扱い、妥協せず、仕事にも隙を見せない姿勢、

瀧山さんのプロとしての姿を垣間見た時間でした。

ありがとうございました。

| 久野民樹 | みる | 14:55 | - | - |
小谷栄次さんのハンドル付け

倉敷での全国フォーラムに参加しました。

倉敷ガラスの工房を見学させていただき、小谷栄次さんの実演では、ハンドル付けを見せていただきました。

無駄のない動きは、はやく、美しくて、感動します。

美しいものは、美しい動きから生まれるのかもしれません。

美しい動きは、もちろん、訓練度の高さからくるのでしょう。

 

 

 

素晴らしい!!

 

栄次さん、ありがとうございました。

また、倉敷フォーラム開催にご協力してくださった皆様、ありがとうございました。

 

| 坂本光司 | みる | 09:06 | - | - |
小谷眞三さんの言葉

今回の倉敷フォーラムでとてもうれしかったのは、まだまだお元気な米寿の小谷眞三さんにお目にかかれたこと、それだけでなく、公開フォーラムや懇親会にも参加していただけたことでした。

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公開フォーラムでは、染織、ガラス、段通それぞれのお仕事の歩み、外村吉之介さんはじめ民藝の先達とのかかわりなどが語られました。

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司会の大橋正芳さんから倉敷ガラスの第一人者への締めくくりの問いは、「若い人たちへのメッセージ」。

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眞三さんの言葉が印象的でした。「手仕事は、人間の心をつくるもの。だから手仕事をやる人は、人様の心をつくるつもりで、丁寧に、真心込めて、日常使えるものをつくらないといけない」「使いやすいものをつくると、ひとりでに形もよくなるそうですわ」

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「健康で、無駄がなく、まじめで、いばらない」というガラスづくりは、そのままご本人の生きざまでもあると、深く心を動かされたのでした。

遅ればせながら、倉敷フォーラム開催にご協力くださったみなさま、ありがとうございました。

| 大部優美 | 報告 | 22:49 | - | - |
倉敷の風に揺れる白い布

9/7.8.9に開かれた「全国フォーラム in 倉敷」の舞台倉敷の町。
その美しい町並みが、駅に近い鶴形山から一望できます。

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上の写真の黄色味の瓦屋根が大原別邸有隣荘で、その奥が大原美術館です。
倉敷民藝館や今回大変お世話になった倉敷本染手織研究所が、写真中央あたりに重なる甍の中にあると思われます。

鶴形山の頂に阿智神社があります。
駅正面の元町通りをそれてえびす通りを歩き、行列のできるトンカツ屋の前を過ぎて、
アーケードが終わって視野が少し開けた先に、神社へ続く道があります。
いきなり急な石段です。
途中に磐座があり、天の岩戸を開く提案をした?という神様が祀られていて、神々しい雰囲気が漂います。

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石段を登り先へ進むと本殿です。

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1700年の歴史があるという古い神社で、海上交通の守護神、宗像三女神を祀るそうです。
その右手に能舞台があり、舞台の左右に下げられた布が目にとまりました。

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神社の方に伺うと、布は戸板のない舞台の埃除けで、いつのものかわわからないそうですが、古くから使われているとか。
おそらく麻の織物でしょう。神聖な場所にふさわしい白布が風に揺れて、厳かです。

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舞台を覆う白い布は初めて見る景色ですが、布は埃除けの実用とともに荘厳を演出する役割も持っています。
布の、不思議な力です。
この神社をつくったといわれる阿智使主(あちのおみ)の一族は、漢人系渡来人の東漢氏(やまとのあやうじ)の祖だそうです。
漢氏系の一族は、織物の技術に長けたとか・・・
能舞台の白布と直接的なつながりはないと思いますが、妙に納得、です。

参拝を終えて、駅からの道とは違う本殿正面の急な石段182段を降りると、そこは観光客が行き交う町並み・・・

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美観地区はかつては海でした。なるほど、海に浮かぶ鶴形山は海路の目印だったのです。
そのてっぺんに、海路の守護神が祀られていたのです。

歴史の重なる倉敷・・・「全国フォーラム in 倉敷」はたくさんの成果を残して終了しました。
お手伝いいただいた倉敷の皆様に感謝いたします。

| 大橋正芳 | いろいろ | 00:57 | - | - |
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