手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
南部曲り家にあこがれて 5

手仕事フォーラムの家づくりの主旨と異なるところがあります。

それは、予算的にかなり無理をした部分です。もやい工藝で見てからというもの、土間は絶対に島根の来待石を使用しようと決めていました。出雲民藝館も来待石ですが、もやい工藝くらい粗野なチェーンソー跡が理想でした。

▲もやい工藝の土間

▲出雲民藝館の土間

しかし、手仕事で切り出すこの方法はすでに行われておらず、現在は機械で切断するため平滑なものになってしまうとのこと。それでも石材屋さんにお願いして探していただき、昔の方法で切り出してくれる石屋さんを見つけてくださいました。喜んだのもつかの間、追加でかなりの費用がかかるとのこと。一度はほかの材を検討しましたが、諦めきれず追加費用を捻出し実現させました。

この材が現在は高価なものになってしまっているのが残念です。一部機械化しつつ粗野な切断面を残すことはできないのだろうか…と素人ながら思ってしまいます。

 

 

その他、曲り家のかやぶき屋根の形状を再現するため、屋根は直線ではなく微妙にむくりがつけられています。また、かやぶきの厚みを表現するために、垂木の上に束を立て母屋をかけ、さらに垂木をかける2重屋根構造になっています。曲り家を再現するためにかなり手間をかけており、こうしたことが建築費用を引き上げました。曲り家の再現を優先したため「現代に普及できる手仕事の家づくり」を目指している手仕事フォーラムの家づくりと異なっていると思っています。

 

家づくりでは久野代表、源野さんはじめ、たくさんのフォーラムメンバーの皆さまにお世話になり、本当にありがとうございました。

外観はプライバシーの関係上掲載を控えさせていただきました。見学会の機会が御座いましたらその時にでも…。

長くなりましたが、以上で報告を終わります。

| 管理人 | つくる | 09:45 | - | - |
南部曲り家にあこがれて 4

建築の骨格を決める設計、そして施工管理によって建築物の出来は大きく左右します。関東から関西、往復1200キロの現場でしたが、源野さんが快く受けていただき、大変素晴らしい新居が完成しました。

そして設計士と共に大切なのが施工者の存在です。今回、遠隔地ということもあり源野さんのつてのない中で工務店探しは難航しました。古材や古建具を扱えて、日本建築を熟知する大工を抱える工務店というと宮大工の仕事を請け負う工務店が浮かびますが、所謂数寄屋様式の建築は手掛けていても、日本の民家建築のような粗野な美しさを理解していただける工務店はなかなか見つかりません。

倉敷のフォーラム会員の方からご紹介いただいた(その節はありがとうございました)倉敷の工務店さんに興味がありましたが、西日本豪雨が重なり断られてしまいました。

 

途方に暮れていた折、友人が勧めてくれた地元工務店の社長に自作のイメージパースや鈴木邸の写真を見せたところ、大きな関心を寄せていただきました。

 

 

出会ったのは材木マニアと言っても良い社長で、大量の栗や欅、肥松が作業場に転がっているという豊富な材に源野さんも感心しきりでした。それらの豊富な新材で素晴らしい雰囲気を作りあげてくださりました。

▲栗の梁組

▲大黒柱

▲小黒柱

 

また、豊富な材木を活かすだけの、宮大工の仕事を手掛ける中で培われた確かな技術を持っています。源野さんがニュアンスを伝えただけで、素晴らしい大皿立てが出来上がってきました。

 

そして、源野さんには大変素晴らしい拭き漆の仕事をして頂きました。

床の間用の板と床框を拭き漆で仕上げてくださいました。木目が一層引き立ち、深みを持って迫ってくるような存在感のある床の間ができました。床柱も素晴らしく、床の間は源野さんと工務店さんのタッグの賜物です。

 

打ち合わせを通して、工務店さんは源野さんのもつ経験やノウハウ(ベンガラと墨汁と木工用ボンドを混ぜた塗装の上にキシラデコールの黒を塗る技法や、栗材をアンモニアで薫して色を変化させる技法、朝鮮貼りの床板など)を興味深く面白がって実践していただき、源野さんが気付いた点や修正には工務店さんが完璧に答えてくださるという、信頼関係が徐々につみあがっていくのを感じました。

| 管理人 | つくる | 11:49 | - | - |
南部曲り家にあこがれて 3

手仕事フォーラムの家づくりの特徴として、古材や古建具の活用があげられます。今回、古材は叶いませんでしたが、古建具については20枚使用しました。

 

設計が進むにつれて建具の開口幅や高さが決まってきます。その頃から、開口幅に合わせて建具を探しはじめました。

今回は源野さんの紹介で神奈川県の「古福庵」さん、埼玉県の「のびる」さん、そして京都の「井川建具」さんの3店で揃えました。見やすく整えられているお店もあれば、倉庫の中で体の向きを変えながら古建具の隙間を進んでいくようなお店もあり、一苦労です。

そもそも希望の幅に合う物が少なかったり、選んでいる自分でも完成後のイメージがわきにくい建具もあり、源野さんのアドバイス抜きにはできない仕事でした。その上源野さんには購入した建具を建設地まで自家用車で運んでいただくなど大変お世話になり感謝してもしたりません。

 

古建具の多くは昔の日本家屋の建具高さ1,800mm程度のものがほとんどで、現代の住居では200mm程度足りません。そこで、木を足して高さを調整します。この部分に新しい滑車を付けるので、古い建具でも軽く引くことができます。全体のバランスを見て、上部にも付け足して高さを調整することがあります。そして建具に合わせて色が塗られます。

また、格子窓には新しいガラスがはめ込みます。千本格子の引き戸などは、新たに作るよりも古建具を活用したほうがはるかに安く作ることができるそうです。

 

建具によっては全体を着色します。購入時にはわからなかった建具の魅力が引き出され、驚いたものです。

 

 

勝手口には倉戸を設置しました。しかし歪みがひどく、建具屋さんが設置に大変苦労されていました。建具の歪みは隙間にもつながり、防虫や気密性の観点ではかなり良くないです。外と接する建具に古建具を用いる時は、よほど慎重に選んだ方が良いように思います(虫が苦手な方は特に)。古い倉戸の雰囲気は代えがたいのですが。

 

食堂のガラス戸がなかなか見つからず、最後に源野さんに見つけていただきました。ガラス戸は型ガラスに嫌味があったり、洋風のものが多かったりするので、良いなと思うものが見つかったらすぐに確保しておくことをおすすめします。

| 管理人 | つくる | 09:45 | - | - |
南部曲り家にあこがれて 2

勝手にシリーズ化し、報告させていただいております。

手仕事フォーラムの家づくりの共通点ともいえる手仕事を取り入れる実例として、手洗い鉢があげられます。

 

手洗い鉢と言っても小鹿田焼や小石原焼など魅力的なものであふれていて迷っていたところ、松田共司さんの縁付きの手洗い鉢を紹介いただき、一目で気に行ってしまいました。厚みがありキリッとした縁が、曲り家というコンセプトにぴたりとはまりました。おおらかな唐草が沖縄の自然を想起させ、清涼感があります。

 

もう一つは化粧スペースに、家内の希望で清水俊彦さんのしのぎの鉢をお願いしました。立杭の俊彦窯さんの器には、我が家の食器の数割を占めるほど親しんでいましたので、想像した通りの柔らかくぽってりした縁の美しい鉢が出来上がってきました。

 

 

想像通りと書きましたが、大物の制作に当たり、焼きの工程で割れてしまうなど、制作には大変ご苦労をされたようでした。後に久野氏から聞いたところによると、白い釉薬は黒に比べると調子が出にくく難しい面があるのだとか。そうしたいろいろな背景を知ることでさらにものへの愛着が深まります。

 

 

 

もう一つ、手仕事を住まいに取り入れたのは、ガラスの照明です。縁側に四灯のペンダントライトを吊るす予定で、古道具屋などで探しているうちに円筒形のものが良いと思うようになりました。ただ、乳白ガラスの古い照明を買い集めても昔風になるだけでいま一つと思い、モールの入った大きなガラスコップに照明を入れたものを考えました。

 

 

光源が直接見えるのが苦手なので、モールの入ったガラスならば良い具合に光が拡散するのではと考えました。裸電球に比べればはるかに優しい光になっていますが、それでもまだまぶしく、色が入っていても良かったかな(紫とか)、と感じています。あと、電気屋さんとの意思疎通ができておらず、コードがコップ半分短く切られてしまい妙に短くなってしまいました。

反省点もありますが、カタチやモールの入り方、厚みや大きさはまさにイメージ通りで、四灯が並んでいる姿を見て贅沢な気持ちになっています。

 

 

番外的に…

南部曲り家といえば、人が暮らす居室と同じ空間に、土間を隔てて厩(うまや)が配置され、この厩部分がでっぱりとなってL字に折れ曲がった外観をしているものです。平面プランの最初期から厩の部分を子供部屋にすることにしていました。

ということで、こんなエンブレムを貼りつけました。

 

 

実は、行平鍋を求めて伊賀を訪ねた際、作り手さんが展示場においていた非売品の手作り品を欲しがり大泣きする娘をなだめようと、作り手さんが娘に手渡してくれた物です。午(うま)年の娘はたいそう喜んで、今は自分の部屋の象徴として新居を訪れる人に自慢しています。あの時は困らせてしまい申し訳ありませんでした。本当にありがとうございました。

 

次回は古建具の活用について書きたいと思います。

 

| 管理人 | つくる | 12:07 | - | - |
曲り家にあこがれて 1

自宅の新築を考え始めたのは4年ほど前。岩手県で見た南部曲り家の美しさにあこがれ、理想の住まいを考えるようになり、日本の家の歴史を学び、各地の民藝館や曲り家や古民家をめぐるなど下準備を進めてきました。

 

 

 

そして手仕事フォーラムの家づくりをブログやSILTAで熟読し、フォーラムではおなじみの源野設計士に鈴木邸や指出邸、もやい工藝の見学会を開いていただき、設計をお願いすることに決めました。久野代表はじめ、手仕事フォーラムにゆかりのある方々に大変お世話になりましたので、皆さまへの報告も兼ねて投稿いたします。

 

 

まずは第1回として、見学会で参考にし、新居に反映した点を紹介いたします。

まずはなんと言っても朝鮮貼りの床です。朝鮮貼りとはオンドルにルーツがあるという床張りの技法です。河井寛次郎邸で有名です。

鈴木邸の床はまさに住居の象徴ともいえる素晴らしいものでした。経年変化が木材の種類によって異なり、そこから生まれる豊かな表情にため息がでます。

 

 

多様な材を揃え、厚みを整えなければならないことから、大変に難しい(手間のかかる)のだと源野さんから聞いており、半ば諦めていましたが、地元工務店さんの保有する豊富な材と技術をふんだんに活用し、実現しました。これから経年変化が楽しみです。

 

 

指出邸のダイニングにあるカウンターには、古材を用いた天板の深い色や長押など、構成の素晴らしさに目を奪われました。

 

今回、古材の入手が思うように行かず使用できなかったため、指出邸に比べると弱い部分は自覚しているものの、新材で構成したにしては雰囲気が出ていて、さすがは源野さんと思います。長押は外材ですが、切り出した鋸目が残り粗野な雰囲気を作っていて、朝鮮貼りに合わせたカウンターや栗のサッシと良く合っていると思います。

 

 

細かいところで、鈴木邸の雨戸の戸袋に手を入れるための開口部が手に優しく装飾的にも嫌味のないものでした。和室下の収納スペースの引手の参考にさせていただきました。

▲鈴木邸の戸袋

 

建具屋さんに鉛筆書きで形状を書いてお願いしましたが、なかなか良い感じになりました。片付けが苦手な家族なので、引き出しの中身がパンパンでも引き出しやすいこの持ち手は重宝しています。

 

 

報告はまだ続きますが、長くなっておりますので今回はこの辺で。

東京から関西のはしっこまで何度も往復(1200キロ!)して打ち合わせを重ねてくださった源野設計士に心から感謝を申し上げます。

| 管理人 | つくる | 12:05 | - | - |
葛の糸づくり

さて、何はともあれ、やってみるしかない!

ということで、日曜日の早朝に葛を刈りに向かいました。

幸い、理想的な太く伸びた蔓を十分に手に入れることができました。

 

 

刈った蔓を自宅に持ち帰り、大鍋で茹でます。

枝豆のような匂いがします。

茹でた湯にはイソフラボンやサポニンが含まれ、お肌によいとか。

残念ながらそれを思い出したのは、茹で汁を捨ててしまってからでした。

 

 

茹でた葛はススキやヨシといった草で作った室に入れて発酵させます。

これが葛布作りの大きな特徴です。

発酵させることによって、外皮をどろどろに溶かして剥がれさせるのです。

 

 

| 指出有子 | つくる | 05:03 | - | - |
葛の糸づくり

昨年夏に、静岡県島田市の「大井川葛布」が主催された「葛布ワークショップ2016」に参加しました。

参加後に1度、近くの多摩川河川敷で葛を採取し、室で発酵させ、多摩川の水で洗って葛の苧を作りました。

なかなかに美しいものが出来たのですが、非常に残念なことに、

発酵中に雨が降ってしまい、室出しして洗う日、多摩川は増水でどぶ臭く・・・

最後、乾燥中の生乾きの苧から漂うどぶ臭さに嘆くハメになりました。

 

やがて臭いは消えましたが、糸を作るためには裂いた苧の端と端をちょっとなめてから

結んでいくのですが、やはりどうもなめる気になれず。

結局、苧のままで作業は止まっていました。

 

ちなみに、水道水では葛の命である光沢が失われてしまうそうなのです。

国分寺崖線からの湧水由来の流れがあるにはあるのですが、私有地だったり、水量不足だったり。

 

そして。発酵させた葛を洗う場所を見つけられないまま、

今年も葛の採取シーズンが始まってしまいました。

 

 

| 指出有子 | つくる | 22:20 | - | - |
旬の色に合う



大好きなそらまめを湯町窯のどっしりとしたお皿で。
皮ごとグリルで焦げるまで焼くと、中は甘くてほくほくで、いくらでも食べられそうです!

| 松本永子 | つくる | 18:23 | - | - |
中川原さんのカゴ作り

秋田のアケビ蔓細工職人、中川原信一さんのお宅で製作過程のお話など。

 

自ら山に入り、採ってきたアケビの蔓。


アケビといえば、木などに絡むように生えているイメージがありますが、

そのようなものではなく、地面をまっすぐ這って生えている蔓を探して、

山の中を歩き回ります。

季節は秋口から雪が降るまでの1ヶ月程度。

たくさん採れるときもあれば、ほとんど採れない時もある。

 

採ってきた蔓は一本一本、一つ一つ節(出っ張り)を切り除きます。

触れた時、手に引っかからないように。

「だから中川原さんのカゴは触った時に優しく感じるんですね」と言うと、

「それはつくってる人が優しいからだ」と(笑)

 

そして、日光に晒して乾燥させたあと、さらに2ヶ月以上陰干しして、

しっかり乾燥させます。

十分乾燥させてから編まないと、つくった後に緩んだり型崩れしてしまうそう。

 

編むまでの隠れた作業が一番手間がかかります。

 

どんなことも一つ一つ丁寧に、実直に取り組まれる

中川原さん夫妻の姿勢が仕事に表れていることを

強く感じる時間でした。

 

| 久野民樹 | つくる | 11:31 | - | - |
誰が見ても朝夫さん

誰が見ても朝夫さん

 

なんで上と下とで飛び鉋のリズムがこんなにも違うのだろうか。


などと考えても、たぶん理由などないのでしょう。
途中まで進んで一旦停止せざるを得ない何かがあったのでしょう。

 

しかし、数限りなく作り続けた数物作りの中の一つで、
特別な意図など微塵も無くこうなってしまっているので、
嫌みを感じる事もなく、むしろ自然な成り行きとして使い手も受け入れてしまう
大らかな流れです。
使い続けて飽きのこない朝夫さんならではの魅力です。

| 中村裕史 | つくる | 18:25 | - | - |
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>
リンク集
最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
バックナンバー
最近のトラックバック