手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
学習会@芹沢げ霹術館

沖縄をテーマにした展示&学習会が以前にもあったな…と思ったら、2006年夏でした。「沖縄風物」に描かれた特に女性の姿について、亡き久野恵一さんが「荷物を運ぶ手つきや腰つきが、まさに沖縄だ」と評されていたのを今でも覚えています。

 

晩年の弟子だった染織家の山内武志さんは、師匠の仕事に対する厳しい姿勢を語ってくださいました。ものを見ることにも貪欲で、旅路では常々「後ろも振り返って見なさい、そうすれば行きと帰りの景色を両方見られるから」とおっしゃっていた、というエピソードも印象的でした。

 

さて、今回の芹沢美術館での学習会。学芸員の白鳥誠一郎さん=手前右=が、またちょっと違った芹沢像を語ってくださいました。

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(許可をいただいて撮影しています)

 

人物、風景、動植物…「模様」になったモチーフは、その特徴を残し細部をそぎ落として表現されています。が、完璧に特徴を捉えているので、シンプルさを感じさせず、逆に生き生きとこちらに迫ります。

 

「草花文二曲屛風」を前に、白鳥さんはこのように解説してくださいました。「芹沢先生は植物図鑑のような綿密にスケッチをされ、それらを積み上げると胸の高さまであったというほどスケッチ三昧だった。それだけを聞けば、鬼気迫る感じを想像しがちだが、そうではなかったと思う。お子さんたちを連れてスケッチに行くこともあったり、楽しい雰囲気もあったのではないか。それで、作品に温かさが香りのように残る」

 

5日徹夜することもあったといわれ、生みの苦しみもあったでしょう。妥協のない緻密な仕事をしながら、仕上がったものには少しも堅苦しさを感じさせない。「それがこの作家のすごいところ」という解説に深くうなずくとともに、そのような仕事をしたいと思うのでした。

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先日、久野民樹さんが戦前に写された沖縄の写真のことを紹介してくださっていました。芹沢が描いた沖縄と、このタイミングで見つかった写真群を重ね合わせ、豊かな風土や文化をどう守り伝えるかという大きなテーマも突きつけられていると感じました。

| 大部優美 | みる | 13:18 | - | - |
「久野恵一」発見‼︎

ENZA「民俗資料室の竹細工・わら細工を見る」に参加しました。
その報告第1弾です。

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(民俗資料室)

ブリコール企画の今回は、武蔵野美術大学の民俗資料室に残る主に竹細工を巡るイベントでした。

その資料室で、「久野恵一」を見つけました。

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壁面に並んだ各地の籾通し。
その一つに付けられた古い収蔵票を何気なく手に取ると、採集者欄に「久野恵一 他」とあったのです。

使用地:石川県珠洲市若山町火宮
使用者:田中福松
採集地:同上
収蔵年月日:S45.8.10
採集者:久野恵一他
寄贈者:田中福松

久野さんが武蔵野美術大学2年生の夏休みに、宮本常一主宰の生活文化研究会メンバーと共に能登を調査。
その調査で集めたものの一つが、若松町の田中さんから頂いた使い古したこの籾通し・・・想像ですが。

旅にはじまり旅に終わった久野さんの人生の、その第一歩の足跡が、彼の母校にしっかりと残っていました。
偶然の発見でしたが、これは久野さんの導きでしょう。
「大橋、これ見てみろよ、オレの話、ウソじゃないだろう」
目の前の籾通しから、久野さんの声が聞こえてくるようです。

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資料室の9万点におよぶ収蔵品の中から、主に竹をテーマに開催されたこの企画でしたが、
竹製品だけでも膨大で、限られた時間でしたのでざっと目を通した、というのが実感です。
同時に上映された映画や竹細工の研究者のお話など、追い追い報告いたします。

| 大橋正芳 | みる | 09:40 | - | - |
静岡スタディツアーのために

来週土曜日の静岡スタディツアーでは、
静岡市立芹沢げ霹術館で開催中の「芹沢げ陲伐縄」展を鑑賞します。

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作品とともに、芹沢の蒐集品から沖縄の工芸品も展示されていて、
もちろん、芹沢が生涯憧れ続けたという紅型が多数並んでいます。
その一つがパンフレットに載っている「霞に梅枝垂桜燕雀流水に蛇籠葵菖蒲文紅型着物」です。
型を使っていますが肩から裾まで一幅の絵のように構成された模様。
大胆かつ優雅で、明るい紺地に朱を主役にした色彩があふれていて特に印象的です。

この紅型の模様に似た裂(きれ)が手元にあります。

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退色があり鮮明ではありませんが・・・
霞、枝垂桜、燕の構成は、着物の上半分だったのでしょう。
模様の形や流れは柔らかく優美ですが、仕事は意外と大胆です。

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(芹美の着物は麻地ですがこれは木綿です)

大胆にして優美な世界・・・芹沢の作品に紅型の美を見つけてきましょう。

| 大橋正芳 | みる | 12:16 | - | - |
倉敷緞通の新色

尾山台の“手しごと”で開催中の「倉敷緞通展」には、
紺、赤、白などの定番色に加えて、緑や黄(からし色)の配色も登場。
これがなかなか素晴らしいのです。

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紺赤の緞通を玄関マットなどで使うと、室内空間を華やかにしてくれますが、
新色の配色はどこに使っても馴染み、それでいて生活の場にほっこりとした彩りを添えてくれそうです。

倉敷緞通のつくり手・瀧山雄一さんが、
この展示会のために材料のイグサや瀧山さんがヌキと呼ぶ緯糸(ぬきいと・よこいと)を持参してくださいました。
店内に展示された新色の糸は、それだけでもとてもきれいです。

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上の4色の綛糸(かせいと)が、緞通の表に出るリング糸と呼ばれる緯糸で、右の2色が緑と黄。
下の白い糸がイグサに紙テープを巻いた緯糸(裏側の糸)で、日本の風土に合わせて開発されたこの材料が倉敷緞通の特徴の一つです。
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倉敷緞通のデザインは、瀧山さんが再興する以前に緞通を製作していた会社が残したもので、
デザインの全ては芹沢げ陲砲茲襪發里世修Δ任后
色の選定も芹沢が手がけていて、瀧山さんは緞通織りや糸づくりの技術を蘇えさせるとともに、
芹沢のデザインと配色も復活させ、今の生活にあったものを選んで製作を続けています。

20日に行われた瀧山さんを招いての学習会のために『日本の手仕事をつなぐ旅』で予習をしました。
その最終刊「いろいろ◆廚痢崛夘煥膨未棒験兇鯤げる瀧山雄一君」は、改めて感動的なお話です。

写真のページを見ると、緞通といっしょに雑誌『工藝』が載っていて、そこに倉敷緞通が・・・。

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明るい配色の倉敷緞通・・・こんな配色もあったんですね。
これは昭和8(1933)年発行の『工藝』32号、倉敷の新作民芸を紹介した特集の「挿絵」の一つです。

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開発まもない頃の倉敷緞通の一つで、もちろん芹沢デザイン。
その解説文です・・・
「すぐれた家具の持つ性格。明和と安穏を此の織通は持つ。清鮮であつて華美でなくて好い。豊であるか贅澤でなくて好い。外国の物は立派でも立派さに打たれるだけで身につかない物か多い。支那椴通なども其のーつで結局は支那の物で日本人には硬過ぎて冷くて強過ぎて驕って居て濁されてしまふ。自國の物は自國に一番快適なのである。これは性格ある産物の宿命的な事でどうする事も出来ないがそれでこそ好いのだとほぞを固めた方か好い」
・・・柳宗悦の文でしょうか、新しい手仕事の誕生を喜び、讃え、そして今後の道を指し示しているように感じます。
昭和初期の、普及しはじめた洋風な生活様式に向けて、
また、生活の変化に応じた産業の取り組みを応援する活動の中で生まれた倉敷緞通。
その初期の頃は、原色に近い配色ものもあったと瀧山さん。芹沢はその意気込みを鮮やかな色彩に託したのでしょうか。
時代を経て、今はむしろ落ち着いた色彩が私たちの生活に溶け込んでいます。

手しごとの店内にさりげなく置かれた倉敷緞通・・・歴史を重ねてここにあり、という感じですね。

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「倉敷緞通展」は29日月曜まで。
この週末に、ぜひお出かけください。

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| 大橋正芳 | みる | 08:24 | - | - |
倉敷にて倉敷ガラスを見る

 今年のゴールデンウイークは、おおむね天気も良く、観光地は人出も多く、

商売をしている人達は一安心といったところでしょうか。

私の実家も自営業でしたので、連休ともなれば稼ぎどき。子供時代は出かける

こともありませんでしたので、未だにそんなことを思います。

 

 さて、私は一日早く休みを取り、始めて倉敷に行ってきました。天気も良く、

ナマコ壁のコントラストが鮮やか。水面を渡る風も爽やかで、そよぐ柳の新芽が新鮮。

一日飽きることなくエンジョイしました。

 倉敷民藝館、大原美術館、川舟流し(笠を被らされて、ゆらゆら揺られながら、とても楽しかった)。

ベタな観光コースをたどりましたが、随所で倉敷らしさを感ました

(私がそれを求めながら見物していたこともありますが)。

 

<倉敷ガラス>

 小谷栄次さんの個展が開催されていたり、小谷真三さんの物が誇らしげに店先に飾られていたり。

どうしてもそちらに目が行ってしまいます。

 小谷真三さんの物は、羨望の眼差しで鑑賞しました。

それでも倉敷に行けば、民藝館や町なかのそこかしこで、目にしたり手に取ることができます。

 久野恵一さんは「手仕事、手吹きなどと言われるが、小谷さんの仕事は“息吹”だと思う。

内面から生まれる息の吹き方が造形をつくり出し、民藝の良さを知る人の心をなごませ、欲しいと思わせるのだ」

と書いていますが、見れば見るほどいいですね。。

 

 駒場の日本民藝館ではめったに展示されることのない小谷真三さんのガラスも、

さすがに倉敷民芸館では質量ともに充実しており、まとめて見ることのできる良い機会となりました。

以下は、町なかで見かけたガラスです。行けばわかるので、店名は書きません。

 

 

 

 

 

 

小鹿田の堂々たる壷が置かれていたり。

 

細い路地には、なかなか良さげな店もあり、また機会を見つけて訪れたく思いました。

 

| 中村裕史 | みる | 06:10 | - | - |
浩二型ピッチャー

鎌倉もやい工藝はヤチムン展で大賑わいです


レジを待つ間店外で見知った面々と
しばし雑談をしておりました

ふと戸袋の上を見上げると
小鹿田焼のピッチャーがあります
前からあるのは知っていましたが
今回初めておろしてもらい手にとって見させて頂きました

以前坂本浩二さんと話していたとき
浩二型のピッチャーがあるんだよ
と伺いました
もやいのスタッフの方に伺うと
まさにこれが浩二型ピッチャーでした
久野さんと浩二さんとの
重ねたやり取りの末生まれた形で
傷物ではありますが
良品としてここに置いてあるそうです

しっかりとした力強い口の作り
千段が巻かれた器体
その上から白と緑の釉薬が
波打ちながら流れ
このピッチャーを魅力的なものにしています

今の浩二さんとも違う
若さと勢いを感じました

| 高梨武晃 | みる | 18:29 | - | - |
佐世保の竹細工師

先日、佐世保の野田竹細工店を見学に訪れました。

野田さんの話はよく見聞きしていましたし、我が家にも幾つか気に入っている品物があり、

一度伺ってみたいと漠然と思っていました。

 

時間がないのでタクシーに乗り、運転手さんに「俵町の野田竹細工店へ」と告げると、

蛭子能収に似た姿と喋り方の運転手さんが「おお、名工のとこば行きよっと」(すみませんうろ覚えの長崎弁です)。

なんでも、近くに住んでいたことがあるそうで幸先の良いスタート。

自衛隊とU.S.NAVYの施設が立ち並ぶ大通りを走り、創造以上に大きな佐世保市の中心部からすぐの町中で

タクシーが停車。

そこに、民家のガレージを作業所にしたような野田竹細工店がありました。

親切な運転手さんが下車して、東京からわざわざ来た人だから見せてあげてね、と
野田さんに言ってくれたのですが、あいにくお耳がだいぶ遠く・・・
見学を許していただきましたが、とても親切な野田さんはこちらが話しかけると一生懸命聞こうとしてくださるので、
お仕事の邪魔をしないようインタビューは控えめにせざるをえませんでした。
特注の、とても大きな蓋付き籠の縁を作っている最中でした。
竹の節が角にこないように慎重に寸法を測って青竹を切り、巾をあわせて割って、
外皮も内側も丹念に削って、節もなるべく削って平らにし、竹定規のように仕上げていきます。
縁用のひごなので特別丁寧に下拵えをされていたのだと思いますが、
ここまで手間がかかっているとは正直思っていませんでした。
竹はまっすぐで、わりと簡単に割いているように見えるので。
野田さんの仕事がとりわけ丁寧で、人一倍手間をかけておられるのかもしれません。
しかし、だからこそ野田さんの竹細工は、美術品ではない実用品でありながら美しいのだと知りました。
| 指出有子 | みる | 23:21 | - | - |
クノ呉須

春だから爽やかな色の器を使うようなお洒落な生活とは無縁な私ですが、
折角だからと引っぱり出したクノ呉須の出西。
花粉症やら、年度末業務やらで、爽やかさのない毎日が続いていますが、
そのうち、クノ呉須のように気分も晴れるのだろうと
いそしむ毎日です。

.

 

出西窯 クノ呉須釉5寸5分鉢

| 中村裕史 | みる | 21:08 | - | - |
縄のれん文のれん

なにを今さらと言われるかもしれませんが、“縄のれん文のれん”がどんな意図で

作成されたのか、ずっと分からずにいます(いました)。

“縄のれん”を“のれん”にするとは…

考えてみれば変な話で、なにかの洒落なのか、はたまた崇高な禅問答か。

 

さて、先日まで開催されていた「パリのセリザワSerizawa」展から40」に行き、

図録『芹沢けい介の作品』静岡市立芹沢げ霹術館,2015を購入しました。

ページをめくって、なるほど!と思うことあり。

 

 

照明で煌々と照らされたケースに展示されている物を見ると、

“縄のれん”の“のれん”なのですが、この写真を見ると

まさに“縄のれん”そのもの。

そういうことでしょうか?

| 中村裕史 | みる | 18:58 | - | - |
「パリのセリザワ」展

静岡市立芹沢げ霹術館「パリのセリザワ」展に行ってきました。
最終日前日の滑りこ込みでした。




1976-77年にパリのグラン・パレを会場に開かれた「Serizawa」展は、
着物、のれん、屏風など、芹沢の代表作や、装幀に代表されるわしの仕事や肉筆まで、
芹沢のが全て揃ったかのような大規模な展覧会でしたが、
今回はその全容を紹介する規模の展示内容です。
また、芹沢は展覧会のために模型を使って展示計画を立てたことで知られていますが、
その模型も展示されていて、芹沢の創作の現場を垣間見たようで、とても面白かった。

下の写真はパリのメイン会場の展示の一部ですが(図録「Serizawa」より)、
この展示が会場に再現されているのも印象的でした。



質、量ともに膨大で、今回もまた、学芸員の白鳥誠一郎さん入魂の企画、展示でした。

展示されていた作品に「柏市蔵」のものが多くありました。
現在柏市が所蔵する芹沢作品は砂川美術工芸館旧蔵のもので、
美術館は芹沢のコレクターで知られた砂川七郎氏の個人美術館でしたが、
コレクションは氏の死後、遺族によって柏市に寄贈されました。

写真は2003年撮影の砂川美術館です。現存していません。






ところで、
静岡の芹沢美術館には中庭があり、庭を望めるかつての応接室は一般に解放されています。
この景色、どこかで見たことがありませんか?そうです、尾形光琳の「白梅紅梅図屏風」。
この庭は、建物を設計した白井晟一が「白梅紅梅図屏風」のイメージで計画した・・・
と聞い記憶があります・・・定かではありませんが。



梅の季節にゆきたいものです。

 

| 大橋正芳 | みる | 11:57 | - | - |
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