手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
瀬戸スタディーツアー 瀬戸本業窯にて

手仕事フォーラムに参加し、焼き物、ガラス、編組品の職人技を

何回か間近に見る機会がありました。

共通して言えることは、腕の良い職人は手数が少ないということです。

それは特に数を作らなければならない、いわゆる数モノづくりに顕著です。

一つ一つに時間をかけていられないので、

おのずと躊躇なく淀みのない動きになるのでしょう。

しかし、それは数をこなせば誰にでも出来るという訳ではなさそうです。

 

一つ一つの動作を最小限にして、決め所を逃さずに決めていく。

それは見ていて惚れ惚れするような簡潔で完成された動作です。

結果として、原料をこね回さないからでしょうか、

出来上がった物は伸びやかで健やかです。

角湯呑みなら一日に200個は作っていたという水野雅之さんは、

間違いなく現代を代表する名工の一人でしょう。

今は轆轤仕事の合間合間で粘土を練ったりしますが、

粘土を練る職人がいたころは、

水野さんは延々と轆轤から降ろしてもらえなかったそうです。

 

 鋭い眼光で、キビキビと、しかし柔らかく轆轤をひく水野さん

 

今回、自分が職場で普段使いしているカップを持っていきました。

水野さんはそれを手に取り、

「なかなかここまで綺麗な貫入は珍しい。これは栗灰でやったときですね」

と言っていました。

両の手で包み込むように持つ仕草が、

先ほど見せていただいた轆轤を引く手つきと同じで、

このカップが、この人の手から生み出された物なのだなと、

分かり切ったことながら、妙に納得してしまい、

実にしみじみと感動しました。

毎日、コーヒーを飲んでいるカップ。

| 中村裕史 | 報告 | 19:21 | - | - |
牧師館 オープンハウス
愛媛民藝館をぐるりと囲むお堀の景色です。
快晴のさわやかな小春日和が続いていますが、奥の峰々には残雪が見られます。
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以前ご紹介させていただいた“西条栄光教会の再生・保存プロジェクト活動”。
礼拝堂、牧師館、幼稚園舎のうち牧師館の修復工事が完成し、去る2018年11月23日、24日にオープンハウスが開催されました。
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民芸同人であった建築家 浦辺鎮太郎の設計と、外村吉之介に意見を仰いだとされる牧師館は、簡素な設えの中にも機能的な配置と美しさを兼ね備えていて、
“健康で無駄がなく真面目でいばらない”民芸精神を感じさせる建物です。
オープンハウス開催にあたり、ROSA 門田真記子さんにトータルコーディネートをお願いし、
室内装飾をお手伝いさせていただきました。

木造2階建ての建物は、その特徴として、日本瓦の切妻瓦葺きの屋根、白い漆喰壁の真壁。
大屋根を取り入れたことで生まれる豊かな室内空間などです。

▽玄関正面より
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建築当時は牧師の生活の場であり、教会員の集会の場であり、公私の用途を併せ持っていました。
多くの人の出入りが考えられてのことでしょう。
玄関には備え付けのベンチと下駄箱があります。
飴色になったベンチには、倉敷ノッティングがしっくりとおさまりました。

▽2階より眺める吹き抜けの玄関
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上がり框が2か所(写真上部と下部)設けられています。
牧師のプライベート空間と、教会員の出入りがあるパブリック空間がうまく分けられています。

▽1階 食堂
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二方向のガラスから心地よい光が降り注ぎます。

▽1階 食堂から望む相談室
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室内に設けられた格子が気品を高めます。

▽1階 相談室
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玄関同様こちらも大胆な吹き抜けが開放的です。
三畳敷きの倉敷緞通が室内空間を彩ります。
「当時の姿に近いかたちの改修を目標に、天井、床、階段、照明は当時のままを使用している」と伺いました。

▽1階 相談室より2階を望む
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▽1階 相談室よりお堀を望む
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秋の恵み 柿の実と裂き織りテーブルセンターを飾って。
使い込まれたバタフライテーブルには手仕事の品が美しく映えます。

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相談室にも備え付けのベンチがあります。ここにも柄違いのノッティングを飾って。

▽天井を見上げると
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採光用の小窓を見つけました。

▽再使用された扉
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内側から見ると当時の古い白い扉(写真)。
扉を閉めると、外側は新しい木材の建具が見えるよう改修されています。
この白い扉は再利用です。
当時の姿を大切に思う心遣いが伝わってきます。

▽2階 集会室
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床の間のような一角がありました。
民芸の息の根が漂う牧師館。
南天、椿、千両、ツワブキ、ネレネ、野紺菊、アカマンマ・・・野に咲く草花をたくさん摘んできました。
肥料ふりカゴにどっさりと草花を活けて。

▽2階 集会室より眺める山々
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窓を開ければ遠く石鎚連峰を望みます。
畳に座る生活が当たり前だった当時。物書きをしながら、お茶を飲みながら、障子を開けて山々を眺める暮らしがあったことでしょう。

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床の段差を違えた部屋が並んでいます。大屋根構造だからこんな遊び心も実現できたようです。
豊かな室内空間が広がります。

▽2階 和室
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傾斜のある天井面が見えます。

▽構造模型
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模型の展示や、浦辺鎮太郎の作品資料も展示されていました。

今回の保存にあたり、できる限り当時の姿に戻すことを目標に改修工事が行われたそうです。
改修によって一つの区切りを迎えた牧師館は、要所要所に丁寧な心遣いが感じられます。
当時のものを再利用し当時の姿を再現することは、新旧の調和であり、これまでかかわってきた人の思いが繋がれたのではないでしょうか。
新しい息吹が吹き込まれた牧師館がこの先も使われ続け、美しさに磨きをかけてほしいと思います。

藤岡 葵
| 管理人 | 報告 | 17:41 | - | - |
瀬戸一里塚本業窯を訪問して

登窯の大きさにびっくりでした。このような登窯が瀬戸の町に沢山あって、どんどん焼いていた様子を想像すると、圧巻です。

見学した、三口、4間の登窯で一回に焼けるのが、すり鉢なら4万枚、窯詰めに3ヶ月もかかつたそうです。炙りの2日を入れて8日炊き続けるのは、本当に重労働でしよう。棚板も分厚く重さは相当ありそうでした。

水野さんのお話では、焚き口から、薪を下投げ(ソフトボールの投球フォームに近いイメージだそう)で奥に向かって投げ入れるそうです。すごいことです。

写真は今では瀬戸に2基(?)しか残っていないという登窯と、本業窯の水野さんの貴重な轆轤成形を見せていただいた時のものです。

登窯
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分厚い棚板
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水野さん
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お天気に恵まれ、感謝です。

浜野けい子

| 管理人 | 報告 | 11:23 | - | - |
瀬戸焼スタディーツアーが開催されました

瀬戸焼スタディーツアーを愛知県瀬戸市で開催しました。

 

まずは「瀬戸蔵ミュージアム」で瀬戸焼の歴史を学びます。

館長自ら解説・案内してくださいました。

古墳時代に始まり、時代と共に変化する瀬戸焼の姿。

当時の時勢との関連も知ることができ、非常に興味深い内容でした。

 

一里塚本業窯では、瀬戸独特の巨大な登り窯を見学。

水野さんの熟練のロクロさばきも見せてくださいました。

 

柳宗悦が高く評価した「麦藁手」の技術を引き継ぐ小春花窯も見学。

 

瀬戸という一大窯業地ならではの焼き物の姿を見ることができました。

 

短時間ながら非常に充実した会となりました。

ご協力くださった皆様に御礼申し上げます。

 

 

| 久野民樹 | 報告 | 11:22 | - | - |
ROSA 訪問
ROSAを訪ねました。

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城山の麓にあるお店の前は、観光客や地元の方など大勢が行き交っていました。
2月、城山の梅が花盛りです。

店内にはたくさんの砥部焼の品々が。
 
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吹きガラスの品々は、雪解け水のように滑らかでつやめいています。
店内も冬から春への移ろいというところでしょうか。

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3月には鳥取の手仕事展が開催されるとのこと。
まもなくです。こちらも楽しみです。

藤岡 葵
| 管理人 | 報告 | 09:32 | - | - |
東京都内で開催中の染付に関連する2つの展示

東京都内の二か所で興味深い展覧会が開催されているので行ってきました。

・戸栗美術館『初期伊万里 大陸への憧憬展』

・出光美術館『染付 世界に花咲く青のうつわ』

 

戸栗美術館の『初期伊万里 大陸への憧憬展』は、そのタイトルの通り、

朝鮮半島の技術で制作しながらも文様は中国風の画題が意識されている

初期伊万里の名品が中心に据えられ、そこを軸に視野が広がるように

構成されていました。

「初期伊万里」は伊万里焼の磁器創始期から技術革新がなされるまでの

わずか30年ほどの間(1610年代〜1630年代にかけて)に制作された

染付を中心とした磁器の総称だそうです。

展示パネルの解説によれば、「初期伊万里」の特徴としては、素地の厚み

や器形の歪み、口径の3分の1程の大きさの高台作り、釉薬は青味を帯び

た釉調で、貫入や釉ムラ、時には施釉時の陶工の指跡がのこされることもあり、

発色も彩度が低く落ち着いている、などなど。

確かに絵付けは少々はみ出しても気にしておらず、

こうしたことは17世紀中期の技術革新以降はあまり見られなくなるそうです。

大胆で大らかで伸び伸びとした素朴さが、確かに魅力的だと感じます。

 

もう一つは、出光美術館の『染付 世界に花咲く青のうつわ』。

こちらは、時代も地域も一気に拡大したような企画展示です。

例えば、大皿という器形は、本来は中国の食文化には存在しなかったものが、

西アジアの金属器にみられる車座になって皿を囲む宴会の形式を意識した

器形であるとか。また、景徳鎮、伊万里、セーブルのほぼ同じ壺が並べられていて、

景徳鎮へのあこがれがいかに強かったのかが分かります。

 

どんなものを美しいと思うかは自由だと思いつつも、

数世代に渡る長い時間をかけて形作られてきたものから、

私たちは決して自由ではありえないのだろう、など考えました。

 

思わず図録も買ってしまいました。九州陶磁文化館の図録は、

数年前の手仕事フォーラムin有田の際に買ったものです。

今回、合わせて見なおしてみようと思います。

| 中村裕史 | 報告 | 15:40 | - | - |
出雲民藝館「多々納弘光さんの仕事展」
先日、出雲民藝館へ訪れました。
出西窯の故・多々納弘光さんの仕事展の会期が延長されており、
思いがけず観ることができました。

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2010年6月に手仕事フォーラムのスタディツアーで出西窯へ伺ったことを思い出します。
(この時は出雲観光の旅という名前でした)

多々納弘光さんのご自宅での久野恵一さんとの対談や、出雲民藝館でのお話しなど。
まだ手仕事フォーラムに入って間もない頃だったので話の内容はおぼろげですが、
着慣れた藍色のシャツに白髪で始終にこやかだった多々納弘光さんのお姿がとても印象に残っています。

館内全てを使った展示には、
灰釉櫛描の大きな角皿、飴釉のピッチャー、折紙を模様の型に使った蓋物、
小皿や灰落とし・・・そして釉薬の美しさ。

轆轤は使わず丸みのあるものも全て型で作られたというそれらひとつひとつが
理屈なく素晴らしいと感じました。

つくる喜びというのが、ものから直後伝わってくるような、
多々納弘光さんの手元がものを通じて見えるような、、うまく説明出来ません。
胸を打たれました。

経営の仕事に追われ多忙だったという多々納弘光さんは、
皆の就業後に作陶されていたのだそうです。
誰もいない薄暗い工房でひとり静かに土と向き合っておられたのかなと想像します。

喜びと愛情溢れる手仕事の美しさ、そして素晴らしさを体感することができました。

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※2月24日まで会期延長とのことですが、さらに延長されることを願います。
| 門田真記子 | 報告 | 08:32 | - | - |
広島福屋にて「日本の手仕事展」

今日から広島・福屋で「日本の手仕事展」が始まりました。
すでに報告されていますが、フォーラムメンバーと行った搬入作業の様子を・・・


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今年もたくさんの陶磁器、硝子、染織、木工、編粗品などが集まっています。

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今年は23回目。
こんなにも日本各地の手仕事を、途切れることなく集め続けることの素晴らしさを感じます。

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蟻川工房さんのホームスパンが目をひきました。

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23日(土)は14時から小鹿田焼の坂本浩二さんと黒木昌伸さんをゲストに迎えたお話会があるそうです!

搬入後の打ち合わせの様子を聞いていると、楽しい会になるだろうと確信しました。

「日本の手仕事展」
2019年2月21日(水)-27日(水)
広島福屋八丁堀本店7階美術画廊

| 管理人 | 報告 | 21:20 | - | - |
芹沢げ陲亮集


久しぶりに静岡の芹沢げ霹術館を訪ねました。

現在の展示は、
「芹沢げ陲亮集」ー世界の仮面と衣装ー
です。

古今東西津々浦々、
各地の面、面、面、
各地の染、織、紬。

展示されているものには、
平穏無事と云うよりも、
畏れや滑稽さを感じるものもありました。

しかしその細部を見ると、
彫られた模様、織られた一柄からは、
普遍的な美しさを感じ得ることが出来ます。

訪れる度、発見確認できることと思いますので、
皆様足をお運び下さい。

現在の展示は3月24日までです。
https://www.seribi.jp/



また展示会ごとに出る小図録も毎回の楽しみの一つです。
| 高梨武晃 | 報告 | 11:36 | - | - |
学習会「昔の物 今の物」
大寒だというのに不思議と暖かい日曜日、陽が落ちて、お店が閉まる頃、「もやい工藝」の入口から見るとすでに暖かな灯の中で、テーブルには横山先生の収集品の昔の薩摩焼が賑やかに並んでいる。

龍門司と苗代川を12月にスタディツアーで訪れたばかりなので、印象も鮮やか。

横山先生は、とにかく本物を見て、触ってみるようにと解説を終えたものから次々と全員の手の中に収まる。持ってみてわかる重さ、厚さ、色、かたち、土の感じ。本当にありがとうございました。

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朝鮮の形がよく残るおおらかな「黒もん」


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古いものには貝目がついている

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くぎ彫りや貼り付け紋のある「甘酒はんず」

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龍門司の「黒もん」でも陶工の名を入れたものもある

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男子の祝いの席に登場の「亀型酒器」ー三彩釉、べっこう釉、黒釉、白釉ー
| 石井揚子 | 報告 | 22:19 | - | - |
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