手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
倉敷本染め手織研究所を見学して
今回の倉敷スタディも、見どころ満載のツアーでした。
小谷さん親子のガラス工房を訪ねて実演を拝見したり、瀧山さんの倉敷緞通の
工房ではいままで謎だった緞通制作の工程を詳説していただいたり……。
なかでも、趣味として染織をやっている私としては、6月8日、最初の訪問先
だった「倉敷本染手織研究所」が最大の興味の対象でした。
通常、一般の人の見学は受け付けないそうですが、今回は手仕事フォーラムの
メンバーのために特別に公開してくださいました。


「倉敷本染手織研究所」は、昭和28年に、民藝運動家であり、染織家であった
外村吉之介(とのむらきちのすけ)が、倉敷民藝館付属工藝研究所として設立した学舎で、いわば染織の職人養成所。以来、毎年、研究生を迎え入れては、1年間で、暮らしの中で利用する染織品をつくる基礎を教え込み、世の中に送り出してきました(写真は少々ブレていますが、研究所に飾ってあった、機織りする外村先生です)


この研究所では、本染め(天然染料で糸を染めること)や手織り、手紡ぎといった染織分野の伝統的な技術を身につけるのはもちろんのこと、柳宗悦の著作『工藝文化』(解説:外村吉之助)を講読する時間を設け、民藝の理念も同時に学んでいくのです。そこがこの研究所ならではの特徴といえます。今回は、現在、この研究所を率いている石上梨影子先生のご指導で、私たちフォーラムメンバーも『工藝文化』を音読する授業を体験させていただきました。


「倉敷本染手織研究所」といえば、外村吉之介考案の倉敷ノッティング(結び目で面をつくっていく織)の敷物で有名です。機部屋では、研究生の皆さんが、これも外村先生考案の縦機(たてばた/経糸=たていと=が垂直方向に張ってある機)を使用していました。織るときは、強く張った経糸に、ウールまたは木綿の、本染めの緯糸(よこいと)をからめて結び、毛足を一定の長さに切り揃えたら、各段の結び目を筬(おさ)でしっかり打ち込んで密度をもたせる、という過程を繰り返していきます。すると、さまざまな柄が織り出されて、丈夫で美しい敷物が完成します。

現在、研究所でつくっているノッティングは、柄の種類が50以上あるそうです。伝統的なパターンの中から残ってきたものが多く、色数は10〜15色を使用。サイズは37×37cmまたは29×29cmのどちらか。現代の暮らしにも合うような色柄ばかりのためか、展示会などでは販売も好調だそうです。このほか、伝統的な高機で着尺(反物)や帯、小物など、さまざまな染織品もつくっています。


研修期間は4月から1年間。今年の研究生は、比較的若い年代の方ばかり全部で8名。お話を聞くと、織を通じて生活を学びたい、生地を自分でつくってみたいなど、ここへ志望してきた動機はさまざまでしたが、1年間という期間が決められているせいか、皆さん、1日1日を大事に、とても真剣に機に向かっている様子がうかがえました。なかには研究所に寄宿している研究生さんもいて、文字通り織と寝食をともにする生活を送っているわけです。


全国的にみても、職人育成を主旨とする染織の研究所は他に類がなく、しかも民藝の心を基礎とする点で、「倉敷本染手織研究所」は唯一無二の存在だと思います。そうした制作の現場で若い方々が修業されている姿を拝見し、お話をうかがえたのは、私にとってとても大きな収穫でした。そんなチャンスに巡り会えたのも、手仕事フォーラムならではだと感謝しています。
「染織」という手仕事がどんどん衰退している日本の現状で、外村先生が残したものを感じながら、日々、織に向き合えるのはとても貴重なこと。染織の仲間としても、この研究所の活動がずっと守り続けられることを願ってやみません。
| 石原恵子 | みる | 10:30 | comments(2) | trackbacks(0) |
宮武さま

コメントをいただき、ありがとうございました。また、お返事が遅くなり、申し訳ございません。もう倉敷にはおいでになってしまわれたでしょうか?

手仕事フォーラムでは、2013年6月に、倉敷スタディツアーの一環として、〈倉敷本染手織研究所〉を見学させていただきました。
個人で訪ねて見学させてもらえるかどうかは、まず電話連絡のうえ、ご確認されたほうがよいかと思います。

私にも作れるでしょうか? のご質問については、宮武さんが染織制作のご経験者かどうかにもよりますが、基本的に、素人がすぐにできる、とは思いません。
本染手織研究所の皆さんは、精度の高い、上質な商品として、日々、ノッティングの制作に励んでいらっしゃいます。やはりきちんとした学びの経験は必要かと思われます。

ノッティングは、おっしゃるとおり、まさに優れものです。ぜひ、生活の中でご利用になってみてください。
| 石原恵子 | 2016/08/24 12:58 PM |
ノッティングを見たいと思い倉敷を訪ねる事にしました。
我が家では椅子に小座布団を使ってます。
実用に 優れものと思います。
私でも作れるでしょうか?
| 宮武益子 | 2016/07/15 11:24 AM |









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