手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
住まいを考える(設計者編)1

指出家の住宅リフォームに藤井棟梁と携わったので、その報告を・・・

 

昨年、藤井棟梁と二人で久野恵一さんを入院先に見舞いに行ったとき、
「指出さんの家のリフォームを、また二人でやってくれよな」と久野さんが言い、
それが久野さんとの最後の会話になりました。


久野さんの指導で多くの建物を手がけてきましたが、
久野さんは、日々の生活の場である住まいや民藝の品を扱う店舗の、
それぞれの空間をつくることが好きでした。
そのとき、必ず守らなければいけないテーマのようなものを思い描き、
そのイメージに向かって建築を進めました。

 

建築を仕事にする私たちは、とかく法律だったりコストのことがあったり、
あるいは施主の要望に応えたりと、どうしても基本からぶれてしまうことがあります。

 

川崎に中川原勝也さんの住宅をつくったときは、
遠くに見える唯一の緑を借景として取り入れることに終始していました。
松山の「ロサ」のお店づくりには、
門田真記子さんの女性らしい柔らかさや暖かさを表現するように言われました。

 

久野さんといっしょに住宅や店舗をつくることで、
「何が大切か何を表現したいかを考え、守らなくてはいけないことは最後まで貫く。そしてぶれない」
と教えていただいたと私は思っています。

 


今回の住宅リフォームは、元々が外国人に賃貸することを目的に建てられた家でした。
最初に伺ったときには壁も天井も真っ白で、唯一の大きな窓は、はめ殺しの曲面のガラス窓で、
それが室内と庭先との間を隔てていました。

 

外観既存サッシ

 

外観改修後

 

設計も進み積算をしたところ当然予算オーバーになり、
はめ殺しの曲面ガラスはそのまま残そうと言う事に落ち着きましたが、
今回の計画でその部分を残してしまうとリフォームをした意味が無くなってしまう、
もとより“久野さん”は絶対にその点については折れないと思い、
設計・工務店・施主の三者共に泣いて予算を捻出して窓を撤去することとなりました。

 

内観北側既存

 

内観北側改修後

 

玄関は、重い金属の扉から栗材の木製建具になりました。

 

玄関既存

 

玄関改修後

 

居間から台所側を見る。

 

既存内観南側

 

改修後内観北側

 

既存のサッシや台所への建具を古い民家の建具を取り付けました。

 

改修後内観南側

 

床はナラの無垢材、壁は漆喰塗り、天井は能登仁行杉皮和紙貼り。

 

既存トイレ

 

改修後トイレ

 

改修後トイレ内観

 

内装は居間と同じ。
鏡は既存の鏡を利用し周囲に木枠を入れる。
カウンターは欅の無垢材(厚さ5cm)。
扉は古い建具。
洗面器は小鹿田の坂本浩二さんにつくっていただいたもの。


全体に落ち着いた暖かみのある住まいに変身したと思っています。
そしてこの家は、藤井棟梁の遊び心や藤井さんならではの工夫がいっぱい詰まっています。
それについては次回に。

| 源野勝義 | つくる | 21:13 | - | - |
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