手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
民具の現場から

民芸の編組品の中で、ある意味象徴的なもの、「箕」。
なぜ象徴的かというと、形は似たようなものでも地域によって素材が違い、
幅広で面積が大きいので、編み目の美しさが際立ち、
実用品として使うことはなくても、なぜか気になる、眺めていたくなるようなヤツだから。

農具である箕は、現代では農家でさえもほとんど使わなくなりました。
実用品としての民芸品の中でも、
本来のように使われることがほとんどなくなってしまったものだと言えるでしょう。
久野さんも、『民藝の教科書』の中でこう仰っています。
「本来農業の道具だから、現代の日常生活のなかではほとんど用途もない。
そういう意味では、いまや民芸とはいえないものになってしまっているのかもしれない。
しかし、あえて民芸と呼びたい。
それはこの道具が、技術的にも姿かたちにおいても、すぐれた手仕事の編組品とは何かを示す、見本のような存在だから。」

で、前置きが長くなりましたが、
先日、そんな箕を使う現場に偶然遭遇しました。
私は地元の佐賀県に戻り、時々、地域のお年寄りと農業をしています。
今年は「えごま」を初めて栽培し、その収穫作業を行っていた時のこと。
写真2.JPG

実とガラ(枝葉のかけらや実の入っていた殻など)を選別するために、
一人のおばあちゃんが自分の体ほどもあるような箕を持ち出して、器用に振って使っていました。
風の流れを見ながら、箕を振った時に実よりも軽いガラを風で飛ばし、
重い実だけを手前の深くなった方に集めるのです。
(すみません、その現場の写真は残念ながら撮れませんでした…)
下の写真は、既に選別し終わったものを「おろし」というふるいに入れているところ。
写真3.JPG

私が興味津々に「へぇ〜そうやって使うんですね〜」と見ていると、
「今の人は、ぎゃんとは(こんなものは)知らんもんね」と83歳のおばあちゃん。
我が家にも大きな箕やショウケなど、昔の農具はありますが、
実際に使っているところはほとんど見なくなりました。
逆に、現代でこんな機会に立ち会えるのは幸運なのかもしれません。
こんな機会があれば、またリポートしたいと思います。現場からは以上です。

| 田代美由紀 | 報告 | 22:42 | - | - |
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