手仕事フォーラムblog

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外村先生の十字架

倉敷本染手織研究所を設立された外村吉之介先生。

外村先生は、キリスト教の牧師でいらっしゃいましたが、研究所の生徒さんには布教活動はされなかったそうです。石上先生によると「聖書のお話はよくされていたけれど、生徒たちには布教はされなかった。食事の前も先生はお祈りをされているけれど、生徒たちはその間は待っていた。」とのことでした。

先生が倉敷本染手織研究所を始められた目的は、日本全国に美しいものを行き渡らせたい、そのためには全国から人を集め、その「人」とは未婚の女性とし、卒業してからは家族と自分のために美しいものを作れるようにしてあげたい、ということだったそうです。

それは、外村先生が、世界各地、日本各地でたくさんの美しいものを見てこられ、最も美しいと感じられたものが、「母親が子どものために作ったもの」だったからだそうです。

研究所では布教活動はされなかったけれど、「美しいものを作り出せる人を育てること」を、大切にされ、生徒さんたちに「美しいものを広めること」を託されたのではないでしょうか。

一方、牧師としてとしての先生は、日本にキリスト教を広めるにあたり、ただヨーロッパ式のものを持ってくるだけではなく、日本の人々に合うものを考えられたそうです。

教会に掲げる十字架について、木綿を素材に使ったり、藍やベンガラの色を使ったりして、人々が親しみやすく、また日本人的な感覚として美しいと感じられるものを目指しておられたそうです。

研究所で見せていただいた外村先生が作られたものの中に、アイヌの文化である「オヒョウ」という植物の樹皮から採った繊維で織った織物に、木綿で十字架のアップリケを貼ったものがありました。

それは、民藝的にも、日本人の好みとしても美しく、また十字架としても美しいものでした。

外村先生が、「美しいものを作り出せるように育てられた研究所の人々の作るもの」と先生ご自身が作りだされた十字架などの「美しいもの」は、後世にずっと残ることでしょう。

外村先生の作られた十字架(特別に許可を得て撮影しています)

| 瀬部和美 | 調べる | 18:54 | - | - |
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