手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
北薩摩の“つづらカガイ”

もやい工芸に注文していた北薩摩の“つづらカガイ”が届いたとの連絡を受け、

喜び勇んで引き取りに行ってきました。

二度と手にすることは無いと思っていましたし、

それ以上に、この仕事が受け継がれたことが更にうれしいことです。

 

この“つづらカガイ”を始めて見たのは手元のメモ帳によれば2014年の3月。

もやい工芸で開催された久野恵一さんによる学習会。

籠ざる展にちなんだ学習会だったと思います。

久野さんが“つづらカガイ”を手に持ち、

作り手の高齢化で継承が難しく、これが最後になるかもしれない。

そう話していたのを記憶しています。

その頃、私は未だ新参者につき、良いものだと思いつつも、

欲しいなどとはとてもとても言い出せなかったことを覚えています。

久野恵一さんがこの仕事に出会ったのは、日本民藝協会の調査活動に携わっていた頃で

ちょうど私が生まれたころのことです。

 

それを今回、久野民樹さんが新たに開拓してきて、

念願かなって私も手にすることが出来ました。

 

久野恵一さんも読んだであろう小野重朗『南九州民具図帖』(昭和411月)には

“ツヅラフゴ”を背負った子供の写真と、上手ではありませんが民具への愛情溢れる

実測図が掲載されていて、ガリ版で次のように説明されています。

「主として山生きの弁当、ナタ、カマなどを入れるのに用いるが、農作物の

運搬などにも用いる。図のものよりずっと細くした山仕事専用のものもある。

カウル(負う)だけのもので、やはりカリノと同様の緒をとりつけてある。」

「ツヅラは深い山地に自生し、秋のころに地をはっている皮の緑色のカズラ

だけをとってきて乾燥させて黒くなったのを水にもどして使う。若い細いもの

が美しいフゴになる。芸術品のようなのを自作する老人も多い。」

 

日々のハードな労働の中で使用されて耐えうる強靭さを備えた民具。

しかし、日々使うものであるがゆえに、できれば人よりも上手に美しく作りたいと思う。

そのような健全な切磋琢磨があればこそ、民藝に昇華される物が出てくる

土壌となるのでしょう。

現在は、日々の労働からは切り離され、当時のものとは比較すべくもないでしょうが、

この仕事が継承され、これからも数が作られていけば更に力強さを備えたものが

作られていくことが期待できます。

今回手に入れることが出来た“つづらカガイ”は

十分にそのことを期待しうると感じました。

| 中村裕史 | いろいろ | 00:34 | - | - |
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