手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
牧師館 オープンハウス
愛媛民藝館をぐるりと囲むお堀の景色です。
快晴のさわやかな小春日和が続いていますが、奥の峰々には残雪が見られます。
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以前ご紹介させていただいた“西条栄光教会の再生・保存プロジェクト活動”。
礼拝堂、牧師館、幼稚園舎のうち牧師館の修復工事が完成し、去る2018年11月23日、24日にオープンハウスが開催されました。
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民芸同人であった建築家 浦辺鎮太郎の設計と、外村吉之介に意見を仰いだとされる牧師館は、簡素な設えの中にも機能的な配置と美しさを兼ね備えていて、
“健康で無駄がなく真面目でいばらない”民芸精神を感じさせる建物です。
オープンハウス開催にあたり、ROSA 門田真記子さんにトータルコーディネートをお願いし、
室内装飾をお手伝いさせていただきました。

木造2階建ての建物は、その特徴として、日本瓦の切妻瓦葺きの屋根、白い漆喰壁の真壁。
大屋根を取り入れたことで生まれる豊かな室内空間などです。

▽玄関正面より
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建築当時は牧師の生活の場であり、教会員の集会の場であり、公私の用途を併せ持っていました。
多くの人の出入りが考えられてのことでしょう。
玄関には備え付けのベンチと下駄箱があります。
飴色になったベンチには、倉敷ノッティングがしっくりとおさまりました。

▽2階より眺める吹き抜けの玄関
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上がり框が2か所(写真上部と下部)設けられています。
牧師のプライベート空間と、教会員の出入りがあるパブリック空間がうまく分けられています。

▽1階 食堂
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二方向のガラスから心地よい光が降り注ぎます。

▽1階 食堂から望む相談室
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室内に設けられた格子が気品を高めます。

▽1階 相談室
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玄関同様こちらも大胆な吹き抜けが開放的です。
三畳敷きの倉敷緞通が室内空間を彩ります。
「当時の姿に近いかたちの改修を目標に、天井、床、階段、照明は当時のままを使用している」と伺いました。

▽1階 相談室より2階を望む
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▽1階 相談室よりお堀を望む
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秋の恵み 柿の実と裂き織りテーブルセンターを飾って。
使い込まれたバタフライテーブルには手仕事の品が美しく映えます。

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相談室にも備え付けのベンチがあります。ここにも柄違いのノッティングを飾って。

▽天井を見上げると
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採光用の小窓を見つけました。

▽再使用された扉
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内側から見ると当時の古い白い扉(写真)。
扉を閉めると、外側は新しい木材の建具が見えるよう改修されています。
この白い扉は再利用です。
当時の姿を大切に思う心遣いが伝わってきます。

▽2階 集会室
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床の間のような一角がありました。
民芸の息の根が漂う牧師館。
南天、椿、千両、ツワブキ、ネレネ、野紺菊、アカマンマ・・・野に咲く草花をたくさん摘んできました。
肥料ふりカゴにどっさりと草花を活けて。

▽2階 集会室より眺める山々
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窓を開ければ遠く石鎚連峰を望みます。
畳に座る生活が当たり前だった当時。物書きをしながら、お茶を飲みながら、障子を開けて山々を眺める暮らしがあったことでしょう。

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床の段差を違えた部屋が並んでいます。大屋根構造だからこんな遊び心も実現できたようです。
豊かな室内空間が広がります。

▽2階 和室
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傾斜のある天井面が見えます。

▽構造模型
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模型の展示や、浦辺鎮太郎の作品資料も展示されていました。

今回の保存にあたり、できる限り当時の姿に戻すことを目標に改修工事が行われたそうです。
改修によって一つの区切りを迎えた牧師館は、要所要所に丁寧な心遣いが感じられます。
当時のものを再利用し当時の姿を再現することは、新旧の調和であり、これまでかかわってきた人の思いが繋がれたのではないでしょうか。
新しい息吹が吹き込まれた牧師館がこの先も使われ続け、美しさに磨きをかけてほしいと思います。

藤岡 葵
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