手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
粋な行燈皿(学習会「昔の物 今の物」第6回瀬戸)

江戸後期に瀬戸でも磁器の製造が本格化すると(新製焼)、もともとの

本業焼も生き残りをかけて、成形や絵付や釉薬の技術革新に取り組み、

それまでの真っ白な陶土の美しさを活かした無地に灰釉を主体とした焼き物とは、

また異なった世界観を高度に発達させました。

今回、横山先生に見せていただいた一群の本業焼は、江戸の庶民文化が

最高潮に達した文化・文政年間(18041830)の頃か、

その勢いを継いだ時代の物でしょう。

 

その中でも行燈皿という物は、これまた独特なもので、

実に粋で味わい深い物です。

 

現代に生きる私たちは夜でも昼間と変わらぬ明るい環境で生活していますが、

停電などで突然暗闇に包まれると、その濃厚な闇に不安と同時になんとなく

懐かしさを感じたりもします。

 

かつて、そんな生活があたりまえだった時代においては、

盞に灯した燈火によって仄かに浮き立つ行燈皿の絵は、

見る人を幽玄な世界に誘ったのかもしれません。

夕景帰帆、葦、夕顔、菊文、風景…

 

焼き物の図録を開けばたいてい掲載されている定番のモチーフばかり。

それはつまり、それだけ同じ構図の図柄があまたに描かれて流通したことの証左です。

どれだけ繰り返し同じ図柄に筆を走らせれば、

これだけの驚嘆すべき境地に達することができるのか想像もつきません。

(図録)瀬戸市歴史民俗資料館 企画展『瀬戸の絵皿展』平成4年7月19日発行

 

現代においてこの絵付けを復活させることは全く不可能なことですが、

行燈皿の独特の形状は今の生活にも十分取り入れることが可能でしょう、

といった話なども当日はありました。

 

<余談>

たっぷりと油を吸った状態の行燈皿。

上記の図録より。

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