手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
全国フォーラム2019 鳥取「公開フォーラム」

願正寺をお借りして9月8日に行われた公開フォーラムでは、手仕事を未来につなぐ道としての“新作民藝”がテーマの一つとなっていたように感じました。
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第1部の「吉田璋也と鳥取の民藝」では、木谷清人さんから、吉田璋也の新作民藝の功績が美しい写真と共に紹介されました。古作をベースにされただけでなく、曲木肘掛応接椅子においては1938年に中国を調査した中で見出した椅子を基に、鳥取の曲木の技術を用いて生まれたとのことでした。他国の椅子文化を取り入れた“新作”でありながら、地域に受け継がれる素材や技術を骨格とすることで、“民藝”の要素を有する“新作民藝”が誕生するという好例を学びました。
(「吉田璋也の世界」で検索すると吉田璋也の新作民藝の数々を見ることができます)

第2部は「手仕事を未来につなぐ道」と題し、久野恵一氏が新作を生み出す中で、作り手とどのような関わり方をしてきたか、中井窯の坂本章さん、小鹿田の坂本浩二さんのお話を聞くことができました。
久野恵一氏にはスペインの器や、時には素材の異なる木工の鉢を持って来て同じかたちを陶土で表現するよう要求されたとか。ダメ出しも激しかったそうですが、こうしたことを繰り返す中で、出来ることが増えたとお話しされていました。

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沈壽官窯の陶工、平嶺健二郎さんが久野恵一氏から言われた言葉が印象に残りました。
「作る技術は教えてくれるが、何を作っていいかは誰も教えてくれない」
と言う平嶺さんに対し、久野恵一氏は
「歴史と風土を学べば作るものは見えてくる」
と答えたそうです。
その言葉通り、沈壽官窯と手仕事フォーラムの共同プロジェクトとして新作に取り組む中、平嶺さんは歴史を深く学ぶことで、幕末以前の李朝のものを基にしていた白薩摩に“作るもの”を見出したとのことでした。
今回のフォーラム会場に並べられた共同プロジェクトの試作品は、柔らかい白色とロクロの手の跡が残った優しい表情が印象的なこれまでの試作とは異なる物でした。来年リリースとのこと。楽しみです!

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吉田璋也は『新作民藝の8要素(鳥取民藝協団員の資格)』として以下を上げています。
〆猯舛詫囘咾砲茲辰禿正なものを吟味してこの地方の物から選ぶこと。
⊇侏茲襪世荏飾を少なくすること。
M囘咾肪藜造法∋箸の匹い發里鬚反干櫃韻襪海函
せ纏は誠実で丈夫であること。
ヌ詰な技法はさけ、安全な技法を選ぶこと、それは伝来の熟練した技術を護ること。
Σ輒を狙ったり、特殊なもの、奇異なる形を好まないこと。
Я道┐砲覆蕕霧造蝓安価に作ること。
┠り返しつくって熟達すること。

慎重かつ明確に見事に言語化されています。
対して「久野恵一氏はどのような要素を大切にしていたか」という質問に、作り手の両名は「直感だったのではないか」と仰いました。

それを聞いて、帰り道で考えてしまいました。個人の直感だとすると、後に続く私たちに残された道が無いではないかと。しかし、その後柳宗悦の著書を読んでいて、直感ではなく直観だったと気が付きました。経験と知識が無意識にはたらく直観が、物事の本質をとらえた新作民藝を生み出す基となっていたのだと。

「手仕事を未来につなぐ道」というテーマでしたが、道を踏み外さず歩むためには、趣味として物を見るだけでなく、久野恵一氏がこれまでやってこられたように、歴史と風土を認識した上で物を観る力を養って行くことが重要であると感じ入りました。

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大好きなたくみ割烹では昼食にカレー、夜にはしゃぶしゃぶ(すすぎ鍋)をいただきました。ごちそうさまでした。

山田宗平

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