手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
芹沢げ陲亮甓狃渋臘鏤丗坐展

昔、厳冬期の青森酸ヶ湯温泉に行き八甲田山へ登り(もちろんロープウェイで)
マイナス30度を経験し下山してから棟方志功記念館へ行ったことがありました。
若かったんですね。
棟方という人のことも良く知らずに二菩薩釈迦十大弟子を始めて見ましたが、
感動というか異様な衝撃を受けました。

現在、仙台の東北福祉大学芹沢げ霍芸館では<芹沢げ陲亮甓狃渋臘鏤丗坐展>
が開催中です。
宮城県美術館でのアイヌの展示を見た後にたずねました。
image001.jpg 
全国フォーラムが仙台で開催された時には車に分乗して東北福祉大まで行きましたが、
その後、仙台駅前に開館。行ってみたいと思いつつもタイミングがありませんでした。
以前に比べれば展示スペースは狭めですが、
作品一点一点とじっくりと向き合うなら十分だと思いました。

<釈迦十大弟子尊像>87歳の時の作ということは亡くなる前年ということになります。
最晩年に至るまで衰えることのない創作意欲を持ち続けていたことにただただ驚きます。

この作品にはいくつかのバージョンがありますが、インドへ渡ったものは、
紙は八尾の桂樹舎へ特注し、つなぎ目なく作られた縦180センチの強製紙で
強い“しぼ”(襞)があります。
墨は大変きめが細かい墨汁です。展示解説によれば、艶のある黒色を出すために
あえて腕力の劣る女性の弟子たちに墨を磨らせたそうです。
さて、黒漆を使って染めることを当初企画したそうですが、
インドの気候風土に合わないため、漆染は日本に残り墨染がインドに渡ったそです。
なお、日本に残った漆染めの釈迦十大弟子尊像10図フルセットは
その後、砂川七郎氏のコレクションとなり、現在は千葉県柏市に寄贈されています。
P3141779.JPG

P3141780.JPG
*上2枚の写真:旧「砂川美術工芸館」にて/2003年撮影(大橋正芳提供)

今回の展示では、インドに渡った墨型染絵と全く同じ作品1枚とその型紙。
頒布目的に制作られた縮小版の様々なバリエーションが同時に展示されています。
頒布用のバリエーションは以下のものです。
なお、使われてる紙は八尾のものではなく表面はなめらかな仕上がりです。
・墨一色
・濃い灰色「薄墨/ねずみ」
・黄土、薄墨、赤で彩色が施されたもの
型紙は同一でも随分と印象は違い、比べて見ればやはり黒一色が最も力強く、
その中でもとりわけ等身大の1枚に強く惹きつけられます。
物にはふさわしい大きさというものがあるのでしょう。

宮城県美術館の図録ではありますが、白鳥誠一郎氏は以下のように書いています。
「芹沢の型紙はそれ自身で鑑賞に耐えるもので、これが型染の骨格となるが
芹沢の型染において、型と並んで重要なのが配色である。同じ型紙を使いながら、
配色によって全く異なる作品に見えるほどの印象の差を生みだしたものも多い。
このことを踏まえると、芹沢の型染は色で作られているといえよう。」(242ページより)
型染の可能性を極限まで追求し続け新たな可能性を拓き続けた芹沢の真骨頂であり、
誰にも追いつけない境地だということです。

それにしても型紙用下絵は美しいというよりも何やら凄まじさを感じました。
彫り出された生々しさが残っており、せめぎあうような緊張感に満ち満ちていて、
ある意味グロテスクで凝視し続けることが困難でした。
それは洗練された完成品からは想像もつかないもので、
完成品と型紙を同時に見ることが出来ることは今回の展示の
大きな見どころでしょう。
その他、四季曼荼羅二曲屏風や心偈など盛りだくさんでした。

さて、Googleで検索していたところ以下のような以下のような論文がヒットしました。
とても詳細な内容です。

「芹沢げ雕遏崋甓狃渋臘鏤丗坐」―型絵染への挑戦―」門脇 佳代子、
東北福祉大学芹沢げ霹術工芸館年報、Vol.6(2014)
Permalink : http://id.nii.ac.jp/1330/00000465/

(H・N)

| 管理人 | みる | 11:00 | - | - |
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< March 2020 >>
リンク集
最近の記事
カテゴリー
最近のコメント
バックナンバー
最近のトラックバック