手仕事フォーラムblog

手仕事フォーラムのメンバーが、日々発見した事や物をお届けします
吉田璋也の美意識にふれる初日

兵庫出身の私が民芸や手仕事に興味を持ち始めたとき、真っ先に伺ったのが鳥取民藝美術館でした。美術館で観て学び、たくみ割烹で活きた手仕事の器を体感し、たくみ工芸で生活に取り入れるという、これ以上ないプロデュースに感激し、半世紀以上も前に実践(実験)された先見性に衝撃を受け、手仕事の奥深さに一層のめり込むきっかけになりました。
今年の全国フォーラム(2019年9月7・8日)は鳥取。ということで以前より楽しみにしていましたが、期待通りに、鳥取民藝美術館を創設した鳥取民藝の中心人物、吉田璋也について詳しく知る素晴らしい機会となりました。


医師であった吉田璋也の医院は民藝美術館の道路を挟んで向かいにあります。今回、普段は公開していない吉田医院を見学させていただきました。


自身で設計を手掛けた医院は、玄関階段の迫力や吹き抜け2層の2階建て、実質4階建てというプランの面白さに目を奪われますが、細かい点にも吉田璋也の美意識が散りばめられ、見どころの多い建築でした。
階段や作り付け棚の柔らかい曲面や、梁や柱の面取りには共通する仕様が見られ、木材の重厚さの中に軽さや優しさを添えているように感じました。医院ということもあり、患者さんに親しみを持ってもらいたいという意識があったのでしょうか。


建築だけでなく家具や什器も吉田璋也自らデザインしたそうです。用の美を感じるさりげない意匠を添えた什器の中で、特に目を引いたのがゴミ箱でした。何の変哲も装飾もないようですが、穴の直径、口の丸みの優しさ、中心を外した穴の位置など大変に均衡がとれて洗練されていて、吉田璋也が現代にいれば、素晴らしいプロダクトデザイナーにもなっていたであろうと感じさせます。


入口の看板は、布志名焼の船木研児によるものだそうです。こうしたさりげない情報が得られるのも、フォーラム参加の嬉しいところです。


鳥取民藝美術館では現在に至るまでの経緯について、河井寛次郎記念館の許可を得て今回特別に資料を見せていただけるなど、写真で歴史を振り返ることで大変わかりやすく学ぶことができました。驚いたのは、鳥取大火の経験から、鉄筋コンクリートで造られていることでした。美術館の雰囲気を決定づけている太い梁などは、鉄筋コンクリートの上から木材をかぶせているそうです。年月と共に浮いてきているのか、良く見ると確かに形跡が見られます。しかしここでも吉田医院でも見られた面取りが見られ(1階展示室のみ)、鉄筋コンクリート造でありながら巧みに空間を演出しているところに感嘆します。(写真を撮り忘れました)

通常では見られない場所や知ることのできない情報、自分では発見できない視点をいただけることがフォーラムの醍醐味だと感じる初日でした。鳥取民藝美術館はじめ、関係する皆様には感謝しかありません。ありがとうございました。

 


山田宗平

| 管理人 | 報告 | 18:38 | - | - |
松江artos Book Storeで「倉敷の民藝」が始まります

松江の書店・artos Book Storeで4日から始まる「倉敷の民藝」展の

搬入・展示をしてきました。

オーナー・西村さんご夫妻にお手伝いいただき、無事に完了です。

イグサの良い香りが店内に広がりました。

 

倉敷緞通、須浪亨商店のいかご、倉敷本染手織研究所のノッティングやコースターなど。

倉敷の手仕事を観ていただける機会です。

倉敷だけでなく、沖縄・九州など各地の陶磁器も並べています。

ぜひご来店ください。

5日午後は私も店頭に立たせていただきます。

| 久野民樹 | お知らせ | 09:08 | - | - |
故郷忘じがたく

先日、十四代沈壽官さんが亡くなられた時、司馬遼太郎の小説「故郷忘じがたく候」のモデルにもなった、といくつかの記事が書いていました。若干ややこしいですが、小説の中で「故郷忘じがたく」は、1700年代終わりごろの記録にある老人の言葉として紹介されています。秀吉の朝鮮出兵時に連行された朝鮮人技術者が苗代川で作陶を始めたのは1600年ごろですから、それから200年近く経った時点の発言です。

 

薩摩藩主の島津家から武士の身分を与えられ、厚くもてなされたという朝鮮人技術者らは、姓を変えることを禁じられ、言葉や習俗も維持するように命じられていたといいます。すでに何代も代替わりしているのに、なお望郷の念を募らせている。集落を訪れた医師は、驚きを持ってこの言葉を書き留めたようです。

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それから200年の時が経ち、先代沈壽官さんは韓国の名誉総領事として日韓の交流に尽くされました。十五代当主もこの仕事に入った時を振り返り、「言われのない偏見の中で耐えながら、それでも真っ直ぐに父祖の業を守ってきた人々がいた」「四百年の昔遥かに玄界灘の波濤を超え、見知らぬ国でその技を糧に第二の人生に挑んだ初代達の悲しみを偲んだ」とつづっておられます。窯を訪ねると、そこここに「故郷」への敬愛を感じることができます。

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ちょうど私たちが九州を巡っていた時、日韓の外交史に残る大きなできごとがありました。私たちがいま「日本の文化」と誇るものがどのように生まれ、守られてきたのか。沈壽官窯とのプロジェクトで、故・久野恵一さんが伝えたかったメッセージがここにあると思いました。

| 大部優美 | いろいろ | 11:02 | - | - |
民藝のうつわでお茶を

愛媛県西条市にある栄光教会の牧師館で

2日間限定の喫茶室を開くので協力して

ほしいと、西条在住のフォーラムメンバー

藤岡さんからお話をいただき私物の

うつわを持参しました。

教会の奥が牧師館です。

お堀に囲まれた西条藩陣屋跡にある

栄光教会と隣接する牧師館、栄光幼稚園は

同じお堀内にある愛媛民藝館を設計した

倉敷の浦辺鎮太郎による建築群です。

 

特に牧師の住まい兼サロンの牧師館は、

建築時に外村吉之介の助言が取り入れられ

日々の暮らしに美を感じる空間です。

こんな場所でお茶を飲めたらいいねと

藤岡さんと話していたので、ちょっとした

実践が出来て準備も楽しい時間でした。

上の写真の部屋は懺悔の部屋。眺めの良い

部屋です。

室内の設えには愛媛民藝館の展示品を

お借りしました。暮らしを飾るとより

豊かな時間が持てます。

 

門田真記子

| 管理人 | いろいろ | 04:13 | - | - |
牧師館 喫茶

8月10日(土)、8月11日(日)、西条栄光教会の牧師館にて喫茶店が開かれました。
昨年11月にオープンハウスが行われた建物です。
 *2019.3.23ブログ「牧師館 オープンハウス」→ http://blog.teshigoto.jp/?eid=867642

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民芸が息づく建物で、美しい手仕事の品々を飾り、実際に使っていただきたい……
今回もROSA 門田真記子さんと共にコーディネートのお手伝いをさせていただきました。

看板かかげて開店です。
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暑さ厳しい中、早朝6時に採取していただいたお花たち。
夏の終わりに野に広がるタカサゴユリ、黄色いオミナエシ、祝いのナンテン、ススキ、芭蕉布など
たくさんの花が玄関でお客様を迎えてくれました。
民藝館よりお借りした芹澤げ陲涼販が、粋!です。
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サロン部屋にて
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眼前に広がるお堀と緑の木々を眺めながら…
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書斎にて
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芹澤げ陲離董璽屮襯ロスは、葉脈を浮き出したような模様です。
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建物の見学もできます。
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喫茶メニューの一部です。
手作りパンナコッタに杏ジャム
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夕刻、薄明になってきたころ
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夕焼けが金色を落として美しく映えます。
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和蝋燭に火を灯してみました。
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期間限定の喫茶でしたが、多くのお客様にお越しいただきました。
若い方の中に、芹澤先生の品を指しながらお話を聞かせていただくこともありました。
嬉しく思います。
お手伝いさせてくださった教会の皆さま、そして力をお貸しくださった関係者の皆さま、民藝館の皆さま、
本当にありがとうございました。
感謝いたします。

藤岡 葵

| 管理人 | いろいろ | 08:17 | - | - |
会報誌『SILTA』39号をお届けしました
手仕事フォーラムの会報誌『SILTA』39号が8月10日付で発行されました。
会員の皆様にはお手元に届いていることと存じます。

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今号の特集は「暮らしと手仕事を考える」・・・
美しい手仕事と暮らす豊かな生活を目指して、住まいのリフォームを実践した会員の報告を二つ。
表紙の写真は、リフォームの一つ、千葉・佐倉の林邸。
もう一つの報告は東京・世田谷の指出邸。
​(本誌はページによってカラーまたはモノクロですが、編集長の独断で、掲載写真の一部を元データでお見せします)​

指出邸のリビング(P6)
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二つの住まいのリフォームも含めて、優れた手仕事を集めた工芸店の店舗の設計にも携わった会員で設計士・源野勝義さんに原稿をいただきました。
本文に掲載した写真は松山「ROSA」の素敵なお店ですが、福岡の「秋月」についても触れていますので、掲載を断念した写真を。

「秋月」の店内。床にご注目(本文P7をご参照)
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巻頭では、久野民樹さんが「私の実家であり、父・久野恵一から引き継いだ『もやい工藝』の店舗兼住居」について書いくださっています。
もやい工藝の店舗についてはご存知の方も多いかと思いますので、久野さんにわざわざ撮っていただいた二階住居部の写真をカラーで。

もやい工藝の二階、つまり久野家の住居(P2)
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手仕事のうつわともいえる美しい住まいや店舗・・・憧れます(編集長の独り言)。

今号の目次・・・
  特集 暮らしと手仕事を考える
     巻頭 美しく暮らす
      |柤蚕夙年の家をリフォーム
     ◆〔鰻櫃良覆映える家
      手仕事を取り入れる店と住まい
  活動報告 瀬戸スタディーツアー
  連載 ・「昔の物 今の物」 北と南の染織
     ・新連載 北鎌日記
     ・フォーラムが選ぶ逸品 つづらカガイ

瀬戸スタディーツアーから、巨大な一里塚本業窯の登り窯の写真
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連載「昔の物 今の物」は「北と南の染織」。染織品の繊細な美しさを、今回は特別に元の画像でお楽しみいただきましょう。

アイヌのアットゥシ
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沖縄の芭蕉布
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さて、今号から新連載「北窯日記」がはじまりました。

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大学卒業後に読谷・北窯の松田共司工房に弟子入りした源野萌美さんが、北窯での日々を綴ってくださることになりました。
写真はモノクロでトリミングしていますので、元の写真を(久野民樹さん提供)。

ガンバレ萌美さん、「北窯日記」を楽しみにしています!!
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会報誌『SILTA』を、これからもよろしくお願いいたします。
会員以外の方はお近くのお店で、または下記をご覧ください。
http://teshigoto.jp/forums_activity/silta/index.html
| 大橋正芳 | お知らせ | 08:39 | - | - |
沈壽官窯プロジェクト 来年リリースへ

このブログでも何度か報告されている、沈壽官窯と手仕事フォーラムの共同プロジェクト。7年の時を経て、来年には製品をみなさまにお届けできるよう、調整を進めています。

 

十五代当主と意気投合した故・久野恵一さんがさまざまな提案をし、沈壽官窯の陶工・平嶺健二郎さんが試作を重ねました。恵一さんの急逝後も平嶺さんは研究を続け、後を継いだ久野民樹さんと検討を重ねてきました。

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古い資料を手に説明する平嶺さん(右)と久野民樹さん(その隣)

 

使う土、器のラインナップがおおむね決まり、釉薬も最終調整に入っています。今週改めて窯を訪れ、十五代沈壽官さんと平嶺さんのインタビュー、撮影などをさせていただきました。

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詳しくは、鳥取手仕事フォーラム、年末に発行する会報SILTA、プロジェクトの冊子などでご紹介します。どうぞお楽しみに!

| 大部優美 | 報告 | 10:36 | - | - |
北国街道の手仕事

お盆に少し休みをもらい、妻の親戚を訪ねて新潟に行ってきました。

大きな鮮魚店が軒を連ね、観光客で賑わう寺泊から、

日本海に沿って走る北国街道を少し南に向かうと、

山田という小さな集落があり、曲物を作っている工房がありました。

江戸時代末期には篩(ふるい)の産地として記録が残っており、

30〜40年前までは10軒ほどの家が営んでいたようですが、

現在残っているのはこちらの1軒のみだそうです。

先代は地元の杉を使って作っていたそうですが、

現在は和歌山から檜を取り寄せ、電子レンジなどでも使える蒸籠なども

製作されているとのこと。

テレビで紹介されたおかげで注文が寄せられて大変だとか。

 

製作途中の蒸籠。板目をつかっています。

 

もちろん、昔からの仕事も続けられており修理なども受けているそうです。

修理に寄せられた蒸籠はよく使い込まれていました。

 

当代(十一代目)は40代半ばで、手仕事の世界で言えば若手、

これからに期待したいと思います。

| 久野民樹 | 調べる | 07:56 | - | - |
鳥取フォーラムの告知が出来ました

鳥取での全国フォーラムまで1ヶ月を切りました。

準備を進めていますが、9月8日の公開フォーラムの告知が出来ました。

題字は、小田中耕一さんにお願いしました。

今回は、鳥取で様々な新作民藝のプロデュースにあたった吉田璋也氏と、

中井窯で、新作の製作に取り組んだ久野恵一の取り組みがテーマとなります。

 

公開フォーラムは一般の方もご参加いただけます。

ぜひご来場ください。

 

 

| 久野民樹 | いろいろ | 02:23 | - | - |
手しごと「夏の染と織」
暑いですね。いかがお過ごしでしょうか。

尾山台の手しごとは「夏の染と織」を開催中。
暑い夏を共に過ごす・・・麻ののれんやガラスの器などが店内に並んでいます。

倉敷本染手織り研究所のノッティングの椅子敷は、おなじみのウールではなく、夏向けに木綿の糸で織られています。
白糸と藍染の糸で爽やかな模様の椅子敷・・・ベランダのベンチにいかがでしょうか。

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新潟・長岡の佐藤多香子工房の裂織りが素敵なバッグに仕立てられました。
しっかりした裂織は実用的で、ざっくりした織物の風合い思いの外さらりとした肌触りが暑さを忘れさませます。
夏のお出かけにどうぞ。

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浜松・山内染色工房ののれんや風呂敷などがたくさん並んでいます。
お店奥の正面には、紺地に「束ね熨斗(のし)模様」の風呂敷が、堂々と飾られていて目を引きます。

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熨斗は伝統的な吉祥模様の一つで、しっかりと束ねられた束ね熨斗模様は、婚礼時の風呂敷や夜具にたくさん残されています。
熨斗は元々は熨斗鮑(のしあわび)で、アワビをひも状に切って干して延(の)したもの。古代からの保存食であり、お祝いの贈り物でした。
秋の婚礼を控えた方が、式場に飾りたいなー、と考えているそうです。おめでたいお話ですね。

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夕刻の、風が少し流れ始めた時間にでも、尾山台へどうぞお出かけください。
冷たい麦茶が待っています。
 
| 大橋正芳 | いろいろ | 21:07 | - | - |
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